釣り船(遊漁船)の開業資金は船の購入費用によって異なりますが、中古の小型船で開業する場合は100万円以下の資金でも可能です。初期費用の内訳や開業資金の調達方法などをまとめました。
船を操縦してお客さんを漁場まで案内する釣り船(遊漁船)の開業資金はいくらくらいなのでしょうか?
今回の記事では、釣り船の開業資金や内訳を紹介します。さらに釣り船の開業資金の調達方法や黒字営業のコツもまとめました。
もくじ
1. 釣り船(遊漁船)の開業資金
釣り船(遊漁船)の開業を始める場合、最初に開業資金を把握しておくことが大切です。釣り船に必要な資金は、開業前にそろえておく初期費用と開業後にかかるランニングコストがあります。
釣り船などのビジネスでは集客が重要ですが、開業後は集客が安定しないために、赤字になりやすいものです。そのため開業資金については余裕を持つようにしましょう。可能ならば、3〜6カ月分のランニングコストを用意しておきましょう。
1-2. 初期費用と内訳
開業する地域にもよりますが、釣り船(遊漁船)で必要な初期費用は最低でも62万円です。釣り船の開業で必要な初期費用には以下のものがあります。
・船の購入費
釣り船の事業で最も重要なものは船です。船の購入費用は、大きさによって異なりますが、全長が30フィート(約9.15メートル)の新品の船を購入するなら最低でも700万円はかかります。
予算をおさえたい場合は中古の船がおすすめです。自動車と同じように、中古の船なら手頃な値段で購入できます。30フィートのサイズの船なら100円程度で購入できますし、全長が小さい中古の船ならば50万円程度で購入できます。
ただし中古の船の中には、メンテナンスの行き届いていない船などもあるため、購入する際は船に詳しい人と一緒に購入しましょう。
・小型船舶操縦士免許の取得費用
船を操縦するためには免許が必要ですが自動車の運転免許と同じように、スクールに通わずに試験に合格するのは難しいです。そのため、費用がかかってもスクールで学ぶことをおすすめします。スクールにかかる費用は10万円ほどです。
・小型船舶登録のための費用
自動車に登録と車検があるように、船にも登録と船検があります。船の登録料は2,950円です。船検については船のサイズや定員によっても異なりますが、全長30フィートの船ならば1.5〜3.5万円がかかります。なお船検は6年ごとに定期検査と中間検査が行われます。
1-3. ランニングコスト
開業する地域や店舗の大きさによっても異なりますが、釣り船(遊漁船)で必要なランニングコストは最低でも22万円です。その内訳を確認しておきましょう。
・船の係留代
車を所有する際に駐車場を借りるのと同じように、船についても保管するための係留代を支払います。どの場所に船を係留するかによって金額は異なりますが、一般的には1~5万円です。
・燃料費
燃料費に関しては、地域や船のサイズや使用する燃料によって大きく異なります。目安としては、1回の釣りで1万円を見込んでおくと良いでしょう。月に20回使用する場合は20万円ほどかかります。
・遊漁船業者保険加入の費用
天候不順や船のトラブルによって事故に遭遇した場合の保険です。集客アップのためにも保険の加入は忘れずに行いましょう。保険については1人あたり最低3,000万円の保障がある保険に加入しましょう。
遊漁船業者保険加入費用は加入する保険会社や保障内容によっても異なりますが、最低限の保障内容で6人定員の保険ならば、毎月2,000円ほどです。
・整備品費用
船のメンテナンスのための費用です。船が故障すると場合によっては数万円から数百万円の出費がかかることもあるため、定期的に整備を行います。毎月3,000~4,000円を見積もっておきましょう。
2. 釣り船(遊漁船)に必要な開業資金の調達方法
釣り船(遊漁船)に必要な開業資金の調達方法としておすすめなのが日本政策金融公庫による融資です。日本政策金融公庫では漁業に関連した事業者に対して漁業資金の提供を行っています。資金の名目によって異なりますが、0.16~0.40%の低金利で融資を受けられます。
3. 釣り船(遊漁船)で黒字経営するコツ
釣り船(遊漁船)で黒字経営するためには、集客力を高めることです。釣り船を利用するお客さんの目的は、大きな魚を釣ることです。そのため魚が釣れたという実績を示していかなければなりません。
お客さんに魚を釣ってもらうためには、魚がたくさんいる釣り場を見つけることやお客さんを丁寧にサポートすることです。さまざまな釣り場をチェックして魚の動きを確かめたり、初心者のお客さんでも楽しめるようにコミュニケーションをとったりすれば口コミを徐々に広めることができます。
その一方で、無理をしないことも黒字経営をするためには大切です。海上では天候が変わりやすいため、注意をしていないとお客さんを危険にさらすことにもつながりかねません。1回でもトラブルを起こしてしまうと多くの常連客を失う危険性もあります。
そのため、常に天候や海象に目を配り、天候が変化しそうならお客さんに早めに伝えて釣りを中止するなどの行動を取ることも信頼につながります。
4. 釣り船(遊漁船)の開業に成功した事例と年収
釣り船(遊漁船)を開業した人の中には、年収が1,000万円を超えている人もいます。一例として大学卒業後に釣り船を開業した男性は、高い年収を稼いでいます。ツイッターやインスタグラムなどのSNSを利用して予約の間口を広げることに成功し、予約の少ない平日も安定した集客を保っています。
さらに、お客さんと上手にコミュニケーションをとりながら、常に和やかな雰囲気にするように努めています。そうすることで、釣り船としての経験が少なくても利用したお客さんに満足してもらい、リピーターの獲得に成功しています。
5. 釣り船(遊漁船)の開業に必要な資格・許可
釣り船(遊漁船)の開業前に取得しておくべき資格や申請しておくべき許可には以下のものがあります。
5-1. 小型船舶操縦士免許
営業に使用する船を操縦するための資格です。小型船舶操縦士免許には1級と2級があり、2級は航行区域が5海里までですが、1級については無制限です。資格試験は学科試験と実技試験があり、視力や色覚などの身体検査も行われます。
5-2. 小型旅客安全講習
釣り船の船長として働く場合に必要な講習です。この講習は平成15年6月1日以降に小型船舶操縦士免許を取得した人が対象となっており、それ以前に取得した人については必要ありません。講習は全国で行われており、費用は1級の資格保持者は2,000円、2級の資格保持者は1,800円です。
5-3. 遊漁船業務主任者講習
この講習も釣り船の船長として働くために必要な講習です。この講習は頻繁には行っていませんが、小型船舶操縦士免許がなくても受けることができます。そのため、釣り船(遊漁船)の開業の計画を立てたならなるべく早めに受けましょう。費用は1回6,000円で5年ごとに受ける必要があります。
5-4. 実務研修
釣り船を開業する際には実務研修が必要です。実務研修を受けるために釣り船(遊漁船)を営業している人に頼むこともできますが、断られることも多いのが現状です。そのためインターネットで、実務研修を行っている会社を検索しましょう。
5-5. 遊漁船業者の登録
釣り船の開業をする場合には、開業の登録を行わなければなりません。登録の際には、小型船舶免許の取得、小型旅客安全講習、遊漁船業務主任者講習、遊漁船業者保険加入をすべて済ませていなければなりません。さらに、開業後から30日以内に登録を行わなければなりません。
6. まとめ
釣り船(遊漁船)の開業資金は、開業する地域や購入する船のサイズによっても金額は異なります。中古の小型船を購入する場合は初期費用も60万円ほどにおさえられますが、新品の船を購入すれば場合は初期費用が700万円を超えることもあるため、予算に合った船を購入しましょう。
釣り船で黒字経営をするためには、集客が大切です。利用するお客さんを満足させるために、魚のいる釣り場を用意したり、丁寧な接客を心がけたりするならばリピーターを獲得できるでしょう。