内科クリニックの開業資金はおよそ7,000万円です。その中には医療機器関連の費用が含まれます。黒字経営をするためのコツは他のクリニックとの差別化を図ることです。開業資金とその内訳をまとめました。
内科クリニックを開業する場合は医療機器関連の設置費用がかかるため、高額になるともいわれていますが、具体的にはどのくらいの資金が必要なのでしょうか?
今回の記事では開業資金とその内訳を紹介します。さらに内科クリニックを開業する場合の物件の選び方や黒字営業をするためのコツもまとめました。
もくじ
1. 内科クリニックの開業資金
内科クリニックの開業資金は、開業する地域の土地の価格や毎月受け取れる診療報酬などによって大きく異なりますが、おおよその初期費用とランニングコストを把握しておけば、開業の計画を立てやすくなります。
1-2. 初期費用と内訳
内科クリニックの初期費用の目安は4,700万円ほどです。主な内訳は以下のとおりです。
・物件取得費
物件取得費は物件を借りるか土地を購入するかによって異なります。物件を借りる場合は、前家賃、仲介手数料、保証金を契約時に不動産会社に支払います。費用の目安は毎月の家賃の6~12カ月分です。仮に家賃60万円の物件を借りる場合は、物件取得費として360~720万円がかかります。
土地を購入して開業する場合も地域の土地価格によって金額は異なります。仮に坪単価15万円の土地を100坪購入する場合は1,500万円が必要です。
・内装費
内装費には、設計費用、施工費用、医療機器設置用工事に関する費用が含まれます。内科クリニックに関する内装費の一般的な相場は、1坪あたり40~50万円です。仮に40坪程度の物件を借りる場合は1,600万円が必要です。
・医療機器関連の費用
内科クリニックの開業では、診療で必要な医療機器をそろえなければなりません。内科クリニックの開業で必要となる医療機器には以下のものがあります。
・一般撮影装置
・電子カルテ
・内視鏡
・超音波画像診断装置
・心電計
・超音波診断装置
・上部・下部スコープ硬性内視鏡洗浄器
・CR/PACS装置
・PACSモニタ2台構成
・腹部・頸動脈プローブ構成電子内視鏡システム
クリニックの規模によっても異なりますが、医療機器関連の費用は診察机等備品や医療消耗品などを含めると2,000万円ほどです。
最新の医療を行うためには医療機器をそろえておくことが大切ですが、機器は日進月歩で進化します。そのため、内科クリニックの中には医療機器をリース会社からレンタルしているところもあります。
・消耗品の費用
消耗品としては、診察券の製作費用や筆記用具などの事務用品の費用があります。さらに医薬品も消耗品に含めます。200万円は見積もっておきましょう。
・広告宣伝費
安定した経営をするためには、集客が大切です。そのため、看板やチラシやWEBマガジンなどを利用して宣伝をします。広告宣伝費は300万円ほどかかります。
・医師会への入会費
内科クリニックによっては医師会に入会しているところもあります。入会金は医師会によって違いはありますが、一般的に200万円は必要です。
1-3. ランニングコスト
内科クリニックの開業資金を用意する際にはランニングコストも含めておきましょう。開業直後は多くの患者さんを集めるのは難しいため、経営が軌道に乗るまでの間は赤字の可能性もあります。そのため、あらかじめ数カ月分のランニングコストを用意しておくならばリスクを軽減できます。
内科クリニックのランニングコストには、家賃、人件費、水道光熱費があります。さらに、医療機器をリース会社からレンタルする場合は、リース代も支払います。開業する地域やクリニックの規模によっても異なりますが、可能ならばランニングコストとして2,000万円は用意しておきましょう。
2. 内科クリニックに必要な開業資金の調達方法
内科クリニックに必要な開業資金を調達する際には、普段から利用している金融機関で融資を申し込みましょう。大手の銀行の中には、医療関連の開業サポートを目的とした商品を提供しているところもあるため、具体的な開業計画を立てつつ相談してみましょう。
3. 内科クリニックに最適な物件の選び方
内科クリニックの営業を成功させるためには、物件選びが重要です。最適な物件を選ぶには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
3-1. 物件選びの3つのポイント
・集客しやすい立地を選ぶ
多くの患者さんに来てもらいやすい立地を選ぶようにしましょう。人の流れの多い地域や患者さんにとって分かりやすい場所は多くの集客を見込めます。
また、駐車場が確保できる地域や交通アクセスのよい地域を選ぶと、遠方からの患者さんの集客も見込めます。
・建物内に入居している業種を確認する
ビルの一室を借りる場合には、同じ建物内に入居している業種を確認しましょう。バーや風俗店など内科クリニックとは正反対の業種が入居していると集客が難しくなる可能性もあるため避けましょう。
・医療機器の搬入方法を確認する
内科クリニックに医療機器は不可欠です。サイズが大きい医療機器もあるため、物件を選ぶときには搬入経路のことも考慮にいれます。どんなに最適な物件でも、医療機器の搬入が困難であれば別の物件を探すほうがよいでしょう。
3-2. 契約時の注意点
内科クリニックに最適な物件を見つけたら、不動産会社と賃貸契約を交わします。通常は契約書にサインをして締結しますが、その際には必ず契約内容を確認しましょう。
特に契約期間については双方の同意によって決められるため、よく確認しておきましょう。内科クリニックなどは長期にわたって使用することが多いため、契約の更新方法は必ず確認しておきましょう。
4. 内科クリニックで黒字経営するコツ
内科クリニックは過剰傾向にあり、都市部ではほとんどの地域に内科クリニックがあります。そのため新たに内科クリニックを開業する場合には、セールスポイントを決めておきましょう。
どの分野を専門としているのかアピールできれば、ほかの内科クリニックに通っている患者さんも獲得できるでしょう。差別化を図るのが難しい場合は、在宅医療などのサービスを充実させることで、通院が難しい新規の患者さんを獲得できます。
5. 内科クリニックの開業に成功した事例と年収
クリニックを開業した方の平均年収は2,500万円ほどといわれていますが、中には年収1億円を超える人もいます。
一例としてある内科クリニックの開業者は、宣伝に力を入れたことで患者を増やすことに成功しました。通常の広告だけではなく雑誌の取材にも応じることで医者自らの積極的な宣伝につながり収入アップに成功しています。
6. 内科クリニックの開業に必要な資格・許可
内科クリニック開業には以下の資格や届出が必要です。
・診療所開設届
・診療所使用許可申請書
・診療用X線装置備付届
・麻薬管理者・施用者免許申請書
・結核予防法指定医療機関指定申請書
・保険医療機関指定申請書
・生活保護法指定医療機関指定申請書
・労災保険指定医療機関指定申請書
・母体保護法指定医師指定申請書
このうち、生活保護法指定医療機関指定申請書については福祉事務所、労災保険指定医療機関指定申請書は地区医師会、母体保護法指定医師指定申請書については労働基準監督署、その他の申請については保健所への提出がそれぞれ必要です。さらに、診療内容によっては別の手続きが必要なこともあるため、開業前には必ず保健所で申請書類の確認をしましょう。
7. まとめ
内科クリニックの開業資金の目安は7,000万円ですが、開業する地域やクリニックの規模によってはさらに多くの資金が必要になることもあります。
内科クリニックの開業を成功させるためには、積極的な宣伝が大切です。通常の広告だけでなく、雑誌やテレビなどのメディアを使った宣伝などでアピールすれば集客をアップさせることもできます。