漫画喫茶を開業するのに必要な資金は1,600万円。物件取得の費用や漫画や雑誌の費用などがあります。漫画喫茶を黒字経営するために必要なことはターゲットに合わせた快適な空間を用意することです。
漫画や雑誌を読んだりインターネットを楽しんだりできる空間を提供する漫画喫茶ですが、開業するための資金はどのくらい必要なのでしょうか?
今回の記事では漫画喫茶の開業資金の内訳や調達方法について紹介しています。さらに漫画喫茶で黒字経営するためのコツや物件選びについてもまとめています。
もくじ
1. 漫画喫茶の開業資金
漫画喫茶の開業資金は、開業にかかる初期費用と運営にかかるランニングコストに分けられます。
1-2. 初期費用と内訳
どの地域に出店するかによっても金額は大きく異なりますが、20坪程度の漫画喫茶を開業する場合は、最低でも1,300万円の初期資金がかかります。初期費用の内訳は以下のとおりです。
・物件取得に関する費用
物件取得のためには前家賃だけでなく仲介手数料や礼金、保証金を支払います。契約内容によっても異なりますが、通常は仲介手数料や礼金は家賃の1カ月分を、保証金は家賃の10カ月分を支払います。家賃が20万円の物件を取得する場合は200万円がかかります。
・外装や内装の工事費
漫画喫茶を開業するためには外装や内装の工事も必要です。漫画喫茶によっては、軽食を提供するところやシャワー室を設置しているところもあります。そのような場合では、ガスや水道の配管工事も必要です。20坪程度の漫画喫茶ならば外装や内装の工事費用として500~600万円は必要です。
・厨房設備等の工事費
飲食のできる漫画喫茶を開業する場合は厨房が必要です。店舗の規模によっても異なりますが、厨房設備には100万円前後かかります。またドリンクバーを設置する場合には1台あたり50万円の資金が必要です。
・漫画
漫画の購入費は店舗の大きさにより異なりますが、20坪程度の漫画喫茶でも12,000冊程度の漫画をそろえておく必要があるでしょう。
漫画は古本屋や廃業した漫画喫茶などを利用することで安く仕入れることができます。1冊あたり100~200円で購入した場合には200万円前後の資金が必要です。
・パソコン
漫画喫茶の中にはインターネットを自由に利用できるところもあります。快適にインターネットをするためには、それなりのスペックを持ったパソコンをそろえておく必要があります。1台あたり10万円のパソコンを30台設置するなら300万円はかかります。
・その他の費用
漫画喫茶で必要な初期費用にはレジ、什器、ドリンクや食材、広告宣伝費、備品があります。店舗の規模によっても異なりますが100~300万円の費用は必要です。
1-3. ランニングコスト
漫画喫茶を開業する際には、初期費用だけでなくランニングコストも計算に入れます。ランニングコストについても開業する地域や店舗の大きさで費用は異なりますが、最低でも310万円は必要です。漫画喫茶におけるランニングコストには以下のものがあげられます。
・家賃
店舗を借りるならば家賃がかかります。家賃は地域や店舗の広さによっても変わりますが、漫画喫茶を運営する場合は20~100万円の家賃がかかります。
・人件費
漫画喫茶を運営するためにはスタッフを雇う必要があります。常時2人のスタッフを配置する場合は、時給1,000円の場合は2,000円がかかります。漫画喫茶の多くは24時間で稼動しているため、深夜手当を含めると1日あたり約50,000円の費用がかかります。月で換算すると150万円の人件費がかかります。
・食費
漫画喫茶で軽食やドリンクを提供する場合は、店舗の規模にもよりますが毎月40万円ほどの費用がかかります。このうち、軽食の原価が10万円ほど、ドリンクの原価が30万円ほどかかります。
・必要経費
漫画喫茶の必要経費として、光熱費、通信費、新刊の雑誌やコミックの購入費、雑費などがあげられます。店の規模によっても異なりますが、最低でも毎月100万円の費用がかかります。
2. 漫画喫茶に必要な開業資金の調達方法
漫画喫茶に必要な開業資金の調達方法としておすすめなのが、日本政策金融公庫からの融資です。
資金の調達方法で最も一般的なのは銀行や信用金庫などの民間の金融機関による融資ですが、新規事業における融資の申し込みについては、事業の失敗による返済の滞りのリスクもあるため審査はかなり厳しくなります。
一方で政府が運営している日本政策金融公庫は企業を増やすことを目的としているため、比較的簡単に審査が下ります。融資を申請するときには、目標の達成可能な事業計画を作成しましょう。
3. 漫画喫茶に最適な物件の選び方
漫画喫茶の開業の計画を立てるときには物件選びも大切です。物件によっては経営に大きな影響を与えることもあります。
3-1. 物件選びの3つのポイント
物件を選ぶときには以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
・プライバシーを確保できる場所にする
漫画喫茶に訪れる客の多くは、外から遮断された快適な空間で読書をしたりインターネットをすることを目的としたりしています。そのため飲食店や喫茶店とは違い、なるべくプライバシーを確保できる場所を選ぶのがおすすめです。
・客層を考慮する
漫画喫茶を訪れる客はさまざまです。ビジネスマンなら情報収集やメールチェックのために利用しますし、学生ならば新刊のコミックや雑誌を読むために利用します。そのため、開業したい漫画喫茶のコンセプトと利用する客層がマッチした地域を選ぶことが大切です。
・地方都市も考慮に入れる
漫画喫茶の経営を成功させるためには多くの客を集めることが重要ですが、都心などでは漫画喫茶が乱立しているという問題を抱えています。そのため人口が少なくても漫画喫茶が少ない地方都市を選ぶならば顧客を獲得しやすくなります。
3-2. 契約時の注意点
理想の物件が見つかったら賃貸契約を結びますが、契約は一度結んだならば必ず履行しなければならないものなので、契約書を交わすときには十分に注意しましょう。
漫画喫茶などの物件では契約期間が契約書に記載されています。契約書にサインする際には、契約期間がどのくらいなのか、契約の更新はできるのか、契約を解除した場合に保障金は戻ってくるのかなどを確認しましょう。
4. 漫画喫茶で黒字経営するコツ
漫画喫茶で黒字経営するためのコツは、客のニーズに合った店作りをすることです。女性をターゲットとした漫画喫茶にするならば、女性専用のスペースを設けたりおいしいスイーツなどが味わえたりする工夫ができます。
日本人だけでなく外国人もターゲットにしたいならば、日本風なデザインの内装にしたり外国語の雑誌やコミックを置いたりすると集客しやすくなります。観光地に漫画喫茶を開業するなら、その地域の観光情報が載せられた雑誌や書籍を用意すると利用客を増やせます。
5. 漫画喫茶の開業に成功した事例と年収
漫画喫茶の開業に成功した人の中には、年収で5,000万円近く稼いでいる人もいます。
月商が600万円を超えている漫画喫茶では、客の滞在時間を延ばすことに重点を置いており、漫画やインターネットだけでなくビリヤード台やスロット、女性のための酸素カプセルも設置することで快適な空間を提供しています。
6. 失敗しない漫画喫茶の開業・経営方法の種類
漫画喫茶の開業方法には2種類あります。どちらにも特徴があるため比較検討をして選択するのがよいでしょう。
6-1. フランチャイズ経営
フランチャイズ経営の場合には、開業前に黒字経営するためのノウハウを習得できるメリットがあります。
物件の市場調査や安定した運営のための研修サポートが用意されています。さらにフランチャイズのブランド名を利用できるため、宣伝費をかけなくても客を集めることができます。
6-2. 個人経営
個人経営の場合には、自分の好きなように経営できるというメリットがあります。フランチャイズ店舗では、経営方針におけるさまざまな制約があります。
個人経営ならば漫画や雑誌のジャンルを自由に決めることができますし、漫画以外の設備も自分の好きなように決められます。ただし、開業時には漫画喫茶の存在を知ってもらうために多くの広告宣伝費をかける必要があります。
7. 漫画喫茶の開業に必要な資格・許可
漫画喫茶では軽食やドリンクを提供するため、開業するためには「営業許可の申請」と「食品衛生責任者の資格の申請」が必要です。どちらの許可も保健所で申請しますが、食品衛生責任者の資格の申請については講習が必要です。
24時間営業の漫画喫茶を開業する予定で、なおかつ通常のドリンクのほかにビールやリキュールなどのアルコールを提供する場合は、公安委員会への深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。公安委員会の連絡先は地元の警察署で教えてもらえます。
8. まとめ
漫画喫茶に必要な開業資金は初期費用だけでも最低1,300万円はかかります。さらに運営するためのランニングコストとして約300万円が必要です。開業直後にたくさんの客を集めるのは難しいため、開業時には3〜6カ月分のランニングコスト代を用意しておくのがよいでしょう。
漫画喫茶で成功させるためには、客のニーズにあった漫画や雑誌を用意しておくことです。加えて、長時間くつろぐことができるようにビリヤード台や酸素カプセルなどの特別な設備を用意しておくと顧客を獲得しやすくなり安定な経営ができます。