電気工事士として独立開業する場合には、380~730万円の資金が必要です。開業のための資金を調達するときは、日本政策金融公庫の公庫融資やマル経融資を活用しましょう。電気工事士で独立開業した場合の年収や黒字経営のコツについても紹介しています。
電気工事士として独立開業する場合には、どのくらいの資金が必要でしょうか?
今回は、電気工事士の会社を立ち上げた場合の、初期費用やランニングコストについてまとめました。また、開業資金を調達するための方法についても紹介しています。将来的に電気工事士として独立したい人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
1. 電気工事士の独立開業資金
電気工事士として独立開業を目指す場合には、最初に初期費用とランニングコストを計算しておきましょう。初期費用と開業資金を把握できれば、どのくらいの資金を用意する必要があるのかがわかります。
1-1. 初期費用と内訳
電気工事士として独立開業をする場合の初期費用は、380~730万円です。内訳は以下のようになっています。
物件取得費
電気工事士として開業するときには事務所が必要です。物件を取得する場合には、家賃のほかに保証金や仲介手数料がかかります。
内装工事費
オフィスの内装工事は、飲食店の内装工事よりも費用が安くすみます。水回りに関する大掛かりな内装工事がないので、少ない予算でも内装は可能です。物件の大きさによっても費用は異なりますが、70万円ほどを見積もっておきましょう。
電気工事のための工具代
電気工事士として仕事をするには、工具が必要です。おもな工具として以下のものがあります。
・電工ナイフ
・リングスリーブ用圧着工具
・絶縁被覆付圧着端子用圧着工具
・手動油圧式圧着器
・パイプカッタ
・ケーブルカッタ
・ペンチ
・高速切断機
・ケーブルストリッパ
電気工事で使う工具をすべてそろえるには、150万円の費用はかかるでしょう。
車両費
電気工事の仕事をするためには車両が必要です。新車にするか中古車にするかによって費用は大きく異なります。新車の車両を購入する場合には、120万円の費用がかかるでしょう。
事務用品の費用
電気工事士の会社として経営をする場合には、筆記用具やパソコンなどの事務用品をそろえておく必要があります。仕入先によっても異なりますが80万円を見込んでおきましょう。
広告宣伝費
電気工事士の会社を知ってもらうためには、広告宣伝をしなければなりません。宣伝の方法は、広告看板、チラシ、インターネットサイトなどがあります。宣伝方法にもよりますが30万円は必要です。
1-2. ランニングコスト
ランニングコストは会社の規模や地域によって異なります。電気工事士の1回あたりの利益率は15%です。1カ月の利益を30万円として設定した場合、売り上げ200万円のうち170万円のコストがかかると考えておきましょう。電気工事士のランニングコストには以下のものがあります。
労務費
労務費とは人件費のことです。1回の電気工事を複数の電気工事士で作業した場合には、労務費が高くなるので注意が必要です。
水道光熱費
工事現場で電気や水道を使用する場合には、水道光熱費がかかります。
特許使用料
特許権にかかわる工事方法を行うときには、特許使用料を支払わなければなりません。
経費
電気工事ではさまざま工具を使用します。工事のために使用した場合は経費として計算します。また、特別な工具をリースで使用する場合は、リース代も経費として加えます。
家賃
事務所を賃貸契約で借りている場合には、家賃もランニングコストに加えます。
そのほかの経費
車両のガソリン代、事務所の水道光熱費などの経費もかかります。これらもランニングコストの一部として計算しましょう。
2. 電気工事士の独立に必要な開業資金の調達方法
電気工事士として独立開業をするときには、まとまった資金が必要です。資金の調達方法は「日本政策金融公庫の公庫融資」と「マル経融資」はメリットが大きいので、ぜひ利用しましょう。
日本政策金融公庫の公庫融資
日本政策金融公庫とは国が運営をしている金融機関です。中小企業についても積極的な融資を行っており、金利1.25~3%で1,000万円まで融資してもらえます。融資の申請をしてから結果がわかるまでの期間が2~3週間と短いので、開業の準備が進めやすいでしょう。
マル経融資
マル経融資とは、商工会議所の推薦によって融資を受けることができる制度のことです。最高で2,000万円の融資を受けることができ、金利についても1.45%と低くおさえています。そのため、融資の返済で経営を圧迫することがありません。
マル経融資のデメリットは、会社を設立してから1年が経過していないと融資の申請ができないことです。そのため、会社を設立するときに資金が必要な場合は、別の方法で資金を調達しなければなりません。
3. 電気工事士の独立開業で成功するコツ
電気工事士の独立開業で成功するためには、積極的な営業が大切です。仕事を取るために工務店などの企業と提携を図ったり、下請けをしたりしましょう。ハウスメーカーの中には、電気工事の仕事を外注しているところもあるので、電気工事士を必要としている業者がないか、こまめにチェックをすることも重要です。
個人で営業をするときには高齢者に声をかけるとよいでしょう。日本では高齢化社会が進んでおり、電化製品の設置などの需要も増えています。チラシなどの広告を使って近隣の住民に認知してもらうようにしましょう。
4. 電気工事士の独立成功事例と年収
電気工事士の平均年収は400~500万円ですが、独立開業したことで高収入を得ている人もいます。首都圏で経営をしているある電気工事士は、積極的な営業をすることで年収が600万にアップしています。さまざまな人に営業をかけることで人脈を増やし、商業施設やホテルなどの大規模な改修工事に携わることができるようになりました。大きな仕事をすることで安定した収入を得ています。
5. 電気工事士の開業に必要な資格・許可
電気工事士として独立開業するのに必要な資格は、「電気工事士」の資格です。電気工事士には「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」があり、第一種電気工事士の資格があれば、商業施設やビルなどの電気設備を扱うことができます。
6. まとめ
電気工事士として独立開業するには、380~720万円の開業資金が必要です。ランニングコストについては会社の規模によっても異なりますが、30万円の利益を上げるには200万円の売り上げが必要でしょう。
電気工事士として独立した人の中には年収600万円を達成した人もいます。積極的な営業で人脈を作ることにより、大きな仕事をもらえるようになりました。営業に力を入れることで電気工事の経営を成功させることができるでしょう。