運転代行の開業に必要な資金は最低で76万円です。資金の調達方法としては借り入れや融資などがあります。開業して黒字化するためのコツは集客です。運転代行の開業資金や開業に必要な許可をまとめました。
お酒を飲み自分の車を運転できないときに便利な運転代行ビジネスですが、開業する場合にはいくらくらいの費用が必要なのでしょうか?
今回の記事では、運転代行の開業資金と内訳について紹介します。さらに黒字化するためのコツや運転代行の開業に必要な資格や許可についてもまとめています。
もくじ
1. 運転代行に必要な開業資金
運転代行に必要な開業資金には、初期費用とランニングコストがあります。それぞれにかかる費用を把握しておけば、資金をどのくらい貯めればよいのかが分かります。
1-1. 初期費用と内訳
運転代行に必要な初期費用は、開業する地域や規模によっても異なりますが、少なくとも54万円はかかります。具体的な内訳は以下の通りです。
・随伴車の購入
運転代行の事業において最も重要なアイテムが随伴車両です。随伴車両とは利用する車と一緒に目的地に向かう車両のことで、一般的には軽自動車が使われています。
随伴車両にお客さんを乗せることはないため、中古の自動車などでも構いませんが、ブランドイメージを気にする人は新車に近いきれいな車両を選ぶのもおすすめです。随伴車両にかかる費用は40~120万円です。
・運転代行の専用料金メーターの購入
運転代行は、タクシーと同じように走行した距離によって支払う金額が変わります。そのため料金メーターが必要です。料金メーターは4万円で購入できます。
・備品など
運転代行を開業するために必要な備品には、随伴車両に取り付ける行灯、営業で使用する名刺があります。さらに広告や営業のために自社のホームページを用意する場合は、ホームページの製作料として10万円程度がかかります。
1-2. ランニングコスト
運転代行の開業資金には、毎月のランニングコストも費用に含めます。開業する地域などによっても費用は異なりますが、最低でも22万円はかかります。運転代行で必要なランニングコストは以下の通りです。
・ガソリン代
随伴車両を運転するためのガソリン代を毎月のランニングコストに含めます。ガソリン代は地域によっても大きく異なりますが、随伴車両を1台所有するならば毎月5万円はかかります。
・駐車場代
営業時間外に随伴車を保管するための駐車場代についても、ランニングコストに含まれます。駐車場代も地域によって異なりますが、東京や大阪や名古屋などの大都市ならば、毎月2万円以上はかかります。
・損害賠償責任保険
運転代行では利用者の車を運転しますが、場合によっては交通事故に巻き込まれたり、事故を起こしてしまったりすることもありえます。交通事故に遭遇した場合には利用者の自動車保険を使用することはできないため、損害賠償責任保険に加入しなければなりません。
損害賠償責任保険については、以下の条件を満たしていなければなりません。
・対人保険が8,000万円以上
・対物保険が200万円以上
・車両保険が200万円以上
運転代行の事業者の多くは、全国運転代行共済協同組合の損害賠償責任保険に加入しています。損害賠償責任保険の費用は毎月1万円ほどです。
・広告宣伝費
運転代行の営業をするためには、広告宣伝が必要です。宣伝方法にはにはチラシ、雑誌掲載、Webなどがあげられますが、毎月4万円はかかるでしょう。
・人件費
運転代行は利用者の車と随伴車を運転しなければならないため、最低でも1人は雇わなければなりません。人件費は地域によっても異なりますが、10~25万円は必要です。
2. 運転代行の開業資金の調達方法
運転代行を開業するには、最低でも76万円の資金が必要です。開業資金に関しては自己資金を用意するのが一番良いのですが、資金が不足している場合は個人で借り入れをしたり融資を利用したりできます。
借り入れを検討する場合は親族からの借り入れがおすすめです。理由としては親族なら事業計画に対して同意してもらいやすいからです。さらに、無利子で借り入れできる場合が多いため、返済に関するリスクを抱えることなく経営ができます。
融資を検討する場合、日本政策金融公庫の公庫融資がおすすめです。銀行など民間の金融機関とは違い、融資の審査がやさしいというメリットがあります。さらに、申し込みをしてから2~3週間ほどで融資結果がわかるため、事業計画を進めやすいのも便利です。
3. 運転代行で黒字経営するコツ
運転代行で黒字経営をするためには、集客に関する計画的な戦略を立てることが必要です。運転代行に関してはインターネットを使って申し込む人は少なく、多くの利用者は飲食店を通して利用しています。
そのため自社の運転代行を利用してもらうためには、飲食店に営業をかけて利用してもらえるようにすることが大切です。さらにゴルフ場や葬儀場やホテルなど、運転代行を利用する可能性が高い業者にも営業をかければ、利用者も増えていくことでしょう。
4. 運転代行の開業に成功した事例と年収
運転代行にはオフシーズンがなく、一年を通して安定した収益を上げることができる魅力的なビジネスです。運転代行の月商は全国平均で70万円とも言われており、中には年収が1,000万円を超えている人もいます。
一例として、ある運転代行のオーナーは、料金の面での差別化を図ることで開業に成功しました。通常の料金のほかに、時間帯割引、高齢者割引、女性割引などを導入して顧客を増やしています。さらには、回数券を導入することでリピーターの獲得にも成功をしています。
5. 失敗しない運転代行の開業・経営方法の種類
運転代行を開業する場合にはフランチャイズ経営と個人経営の2つの経営パターンを選べます。それぞれにはメリットとデメリットがあるため、それぞれの特徴を比較しながら自分に合った経営方法を選びましょう。
5-1. フランチャイズ経営
フランチャイズ経営は、運転代行を開業するためのサポートを受けることができるため、安心して事業を始められるというメリットがあります。さらに営業のために必要な名刺やチラシに関しても格安で請け負ってもらえます。
デメリットとしては、フランチャイズに加盟するための加盟金や毎月のロイヤリティを支払わなければならないため、初期費用が高くなることもあります。
5-2. 個人経営
個人経営は、自分の好きなように事業が展開できるというメリットがあります。加盟金やロイヤリティが発生しないため、毎月の収入が少なくても安定した経営ができます。
デメリットとしては、運転代行に関するノウハウが得られないために、開業直後などは、集客に苦労することもあります。また開業までの作業を全て自分で行わなければならないリスクもあります。
6. 運転代行の開業に必要な資格や許可
運転代行の開業に必要な資格や許可には以下のものがあります。
・普通自動車第一種免許と普通自動車第二種免許
運転代行は車を運転する仕事のため運転免許証が必要です。随伴車については普通自動車第一種免許があれば問題ありませんが、利用者の車については普通自動車第二種免許の取得が必要です。第二種免許を取得していないと無免許運転違反になるため、開業前には必ず取得しておきましょう。
・安全運転管理者
運転代行を開業するためには安全運転管理者の選任が必須です。安全運転管理者として選出できるのは、20歳以上であること、2年以上の車の運転に関する経歴があること、過去2年以内に車の運転に関する違反がないことの条件を満たしている人のみです。さらに10台以上の随伴車を所有する場合には、副安全運転管理者も選出しなければなりません。
7. まとめ
運転代行を開業するための費用は、最低で76万円です。おもな費用としては随伴車の購入費や毎月のガソリン代などがあげられます。開業資金は自己資金を用意するのが一番良い方法ですが、資金が不足している場合は借り入れをしたり融資を利用したりできます。
運転代行のビジネスを成功させるために大切なことは集客力です。居酒屋やバーなどの飲食店をはじめ、ゴルフ場やホテルなど運転代行を利用しやすい場所へ行って営業をかければ、利用者を獲得できる可能性は広がります。