ペットホテルの初期費用は800~1,000万円、ランニングコストは110万円ほどかかります。ペットホテルに最適な物件を選ぶときには、周辺環境のよい場所や動物病院が近くにある場所を選びましょう。ペットホテルの開業資金や内訳、開業のために必要な許可や資格についてまとめました。
ペットホテルを開業するためにはどのくらいの資金が必要でしょうか?
ペットホテルを開業するのに必要な初期費用とランニングコストの内訳を紹介しています。また、開業資金の調達方法もまとめていますので、ペットホテルの経営に興味のある人は参考にしてください。
もくじ
1. ペットホテルに必要な開業資金
ペットホテルを開業するときには、どのくらいの資金がかかるのかをあらかじめ計算しておきましょう。ペットホテルに必要な開業資金には、初期費用とランニングコストにわけることができます。
1-1. 初期費用と内訳
ペットホテルの開業に必要な資金は800~1,000万円です。店舗を借りて開業するのか、自宅の一部を改装して開業するのかによって費用は変わります。さらに、どの動物を扱うかによって必要な備品は異なります。
ペットホテルの開業に必要な初期費用の内訳は以下のとおりです。
・物件取得費用
ペットホテルを開業するには店舗が必要です。どのくらいのペットを預かるかによって必要な広さは異なります。しかし、スペースの狭いホテルは、ペットたちの距離が近くなりストレスを感じてしまうので、なるべく広めの物件を借りるようにしましょう。
不動産屋を利用して店舗を借りる場合には、家賃のほかに仲介手数料や保証金などがかかります。保証金は家賃の8~12カ月分です。家賃20万円の店舗を借りるときには、160~240万円の保証金がかかります。
・店舗の内装や外装のための費用
借りた店舗をペットホテルとして利用するために、内装や外装の工事をします。内装工事で必要なことは、水道の配管や電気の配線工事、家具の設置、冷暖房の設備の設置、インターネットや電話の回線工事などです。
ペットホテルを開業するときには、動物がほえたりしたときの防音対策や、においの対策が必要です。そのため、通常の内装工事よりも費用がかかる場合もあります。
・備品代
ペットを預かるためにはペット用のケージやエサ、おもちゃやトイレなどの備品が必要です。ペットホテルの中には、預かっている間にトリミングのサービスを行っているところもあります。
1-2. ランニングコスト
一般的なペットホテルのランニングコストは110万円前後ですが、費用は開業するペットホテルの規模によって異なります。また、スタッフを雇うかどうかによっても費用は異なるので、あらかじめどの程度の規模のペットホテルにするのかを決めておきましょう。ペットホテルのランニングコストは以下のとおりです。
・家賃
家賃は、開業する地域や店舗の大きさによって異なります。家賃は経費や水道光熱費とは違い、毎月同じ金額を支払うので注意が必要です。店舗を取得するときにどのくらいの金額まで家賃を支払うことができるのかを決めておきましょう。
・経費
ペットホテルでは、動物のエサ代やシャンプー代などの経費がかかります。動物を預かるペットホテルでは感染症などの病気に注意しなければなりません。動物が快適に過ごすことのできる環境を維持できるようにしましょう。
・人件費
人件費は雇用形態や雇用する人数によって異なります。パートを3人雇う場合には、1人あたり毎月10万円がかかり、1カ月で30万円の人件費が必要です。
・水道光熱費
水道光熱費は、ペットホテルの規模によっても異なります。動物たちが快適に過ごすには、部屋の温度管理が大切です。
2. ペットホテルの開業資金の調達方法
ペットホテルの開業資金を調達する方法として公的機関による融資があります。政府が運営をする日本政策金融公庫では、開業を始める人への融資を行っているのでおすすめです。融資を受けるためには、しっかりとした事業計画などが必要ですが、100万円ほどの自己資金を用意していたり、ペットホテルでの勤務経験があったりすると審査が通りやすくなります。
3. ペットホテルに最適な物件の選び方
ペットホテルのビジネスを成功させるためには物件選びが大切です。最適な物件を選ぶためには、以下の3点をおさえておきましょう。
3-1. 3つのポイント
・利用しやすい場所を選ぶ
安定した集客を目指すためには、ペットホテルを利用する人が多い地域に開業することが大切です。顧客の多くは、なるべく近いペットホテルを利用します。そのため、駅やバスターミナルの近くよりも住宅地に開業するほうがよいでしょう。
・周辺環境のよい場所を選ぶ
ペットホテルの開業するときに注意しておきたいこととして、動物たちが過ごしやすい環境があります。バスやトラックなどが走行する大通りや大きな音のする施設がある地域は動物たちに大きなストレスを与えます。リピーターを獲得するためにも周辺環境には注意しましょう。
・動物病院が近くにある場所を選ぶ
動物たちにトラブルが起きたときには、獣医師に診てもらわなければなりません。いざというときを考えて、物件を選ぶときには動物病院の近くを選びましょう。
3-2. 契約時の注意点
気に入った物件を見つけたら、不動産屋と賃貸の契約を結びます。契約を交わすときには、家賃や保証金などの費用を必ずチェックしておきましょう。動物を扱う店舗は、においなどの問題があるので、賃貸の契約が終わったとき、元の状態に回復に時間がかかります。そのため、契約のときに通常の1~2割増しの費用を請求することがあるので注意が必要です。契約書の内容に納得してからサインをしましょう。
4. ペットホテルで黒字経営するコツ
ペットホテルは季節によって売り上げが大きく変わることがあります。夏休みや大型連休の時期にはたくさんの人が利用しますが、平日は稼働率が低い傾向にあるので注意が必要です。安定した経営をするには、ペットホテルだけでなくペットの美容院やペットショップなどのサービスを併設して、安定した売り上げを図ることができるでしょう。
5. ペットホテルの開業に成功した事例と年収
ペットホテルを開業した人の中には、安定した収入を得ることに成功した人もいます。防音設備を施した店舗を借りることで、近隣住民との騒音問題や動物たちのストレスを軽減することができました。その結果、毎日3頭以上の動物を預かることができ、毎月50~60万円の売り上げを達成しています。毎月35~45万円が利益となり、400~550万円の年収をあげています。
6. 失敗しないペットホテルの開業・経営方法の種類
ペットホテルを開業するには2つの方法があります。
6-1. フランチャイズ経営
ペットホテルを開業するための方法のひとつはフランチャイズ経営です。国内には動物のペットホテルのフランチャイズ募集をしている企業がたくさんあります。資金調達や運営に関するサポートがあるので、未経験の人でも簡単に開業できるでしょう。ペットホテルを開きたいものの、開業の準備や経営に不安のある人にはおすすめです。
6-2. 個人経営
ペットホテルを開業するもうひとつの方法は個人経営です。個人経営は開業のプランから経営方法まで自分で好きなように決めることができるという利点があります。自分の店利用してもらうための、プラスαのサービスを自由に決めることができるのも魅力です。ペットホテルでの勤務経験がある人やビジネスの経験がある人には、個人経営での開業も考えておきましょう。
7. ペットホテルの開業に必要な資格や許可
ペットホテルを開業するには、動物取扱業の許可が必要になるので注意しましょう。ペットホテルでは第一種動物取扱業の許可が必要となり、許可をもらうためには動物取扱業登録書、事業所付近の見取り図、飼養施設の平面図の提出が必要です。
また、動物取扱の責任者の登録も行わなければなりません。動物取扱の責任者は、半年以上の実務経験か専門学校での学習経験が必要です。ペットホテルの開業の準備をするときには動物取扱業の許可と動物取扱の責任者の届出を忘れないようにしましょう。
8. まとめ
ペットホテルを開業するには、800~1,000万円の初期費用と毎月110万円ほどのランニングコストがかかります。開業資金を調達する方法には、日本政策金融公庫などの公的機関による融資があります。しっかりとした事業計画書があれば、融資を受けることができるのでおすすめです。
ペットホテルの開業には、フランチャイズ経営と個人経営の2種類の方法があります。それぞれにはメリットがあるので、自分に合った方法を選んで開業するようにしましょう。