映画館の開業資金は1,000万〜2億円です。開業する映画館の規模によっても費用は大きく異なります。資金調達には銀行や信用金庫などの金融機関がおすすめです。開業資金と内訳を詳しくご紹介します。
映画館を個人で開業する場合には、いくらくらいの費用がかかるのでしょうか?
今回は、映画館の開業資金や内訳について詳しくご紹介します。さらに開業するための資金の調達方法や黒字経営をするためのコツも紹介しています。
もくじ
1. 映画館の開業資金
映画館の開業資金は、開業する地域や規模によって大きく異なります。一般的に、繁華街に映画館を開業したり、複数のスクリーンを設置したりすると、かなりの費用がかかります。一方でミニシアターなどの小さな映画館を開業するなら費用が抑えられます。
映画館の開業資金は、開業の際に必要となる初期費用と、開業後の運営に必要となるランニングコストにわかれます。2つの費用をあらかじめ算出しておけば、映画館を開業するのにどれほどの資金がかかるのかを把握できます。
1-2. 初期費用と内訳
地域や規模にもよりますが、映画館を開業する際の初期費用は1,000万〜2億円です。内訳は以下の通りです。
・物件取得費
映画館を開業するためには物件の取得が必要です。賃貸物件を映画館として使用する場合は、契約時に前家賃、保証金、礼金などがあげられます。契約する不動産会社にもよりますが、礼金は最大で家賃の2カ月分、保証金は最大で家賃の10カ月分を支払います。一例として、家賃が50万円ならば、物件取得費は最大で600万円かかります。
物件取得費は地域によっても大きく異なり、都心の繁華街で100坪程度の物件を借りるなら家賃だけで200万円、物件取得費として2,500万円は必要です。一方で、地方の空き店舗を利用するなら家賃を12万円程度におさえることもできます。
・内装工事費
映画館の開業で必要な内装工事費には、電気の配線工事や水道の配管工事、音響設備の工事などが含まれます。内装工事費は、借りる物件によっても大きく異なり、内装の設備が全く施されていない物件なら、かなりの費用がかかります。
一方で、以前に映画館として使用していた物件を再利用するなら、最低限の設備が整っているため費用を安くおさえられます。内装工事費は、800〜2,000万円は見積もっておきましょう。
・映画館に必要な設備の費用
映画館に必要な設備の費用として、映写機、スピーカー、椅子などがあげられますが、開業する映画館の規模によって費用は大きく異なるでしょう。ミニシアターのような小さな映画館ならば数百万円でそろえることができますが、大きな映画館ならば2,000万円はかかります。費用をなるべく抑えたいなら、中古の機材や椅子でそろえるのもおすすめです。
1-3. ランニングコスト
ランニングコストは開業する映画館によっても異なりますが、最低でも毎月100万円は見積もっておきましょう。
映画館の運営で必要なランニングコストには、家賃、人件費、水道光熱費、上映費用があげられます。上映費用とは映画フィルムの使用料や映写機材に関わる費用のことで、1回の上映で数万〜数十万円がかかります。
家賃や水道光熱費は、借りる物件によって異なります。人件費についてもアルバイトを雇うならば1人あたり毎月10〜15万円、社員を雇うなら1人あたり毎月20〜25万円がかかります。そのほか、映画館で軽食やドリンクを販売するなら材料費などの経費もかかります。
2. 映画館に必要な開業資金の調達方法
映画館に必要な開業資金を調達する方法としておすすめなのは、銀行や信用金庫などの金融機関による融資です。クレジットローンよりも多くの資金を低金利で借りられます。さらに金利が低いため、毎月の返済のリスクを軽減できます。
開業資金を調達するための別の方法として、出資をお願いして資金を集めることもあげられます。映画の配給会社、映画ファン、映画関係者などの中には、映画館の開業を応援してくれる人もいます。
出資を依頼するためには、資金の利用目的や返済計画、どんな映画を上映するのかなどの具体的な事業計画書を提出すること必要ですが、賛同してもらえれば多くの資金を集めることができます。
3. 映画館に最適な物件の選び方
映画館のビジネスを成功させるためには、物件選びが重要です。映画館に最適な物件の選び方として、以下の3つのポイントがあります。
3-1. 物件選びの3つのポイント
・該当の物件の周辺に見込み客がどのくらいいるのかをチェックする
映画館のビジネスでは集客力がカギを握りますが、単に人通りが多いからという理由だけでは成功しません。地域住民の年齢や家族構成、生活パターンなどを調査して、見込み客がたくさんいるのかをチェックしましょう。
・営業時間帯の人通りをチェックする
人通りの多い物件でも、時間帯によっては閑散としていることもあります。そのため予定してしている映画館の営業時間と、営業時間帯の人の流れが合っているかも調べておきましょう。
・競合店をチェックする
人の流れが多い地域でも競合店が多ければ、顧客を獲得するのが難しくなります。逆に多少の人の流れ少なくても、競合店がほとんどなければ安定した集客を期待できるでしょう。
3-2. 契約時の注意点
映画館に適した物件が見つかれば、不動産会社と交渉をして賃貸契約の手続きを行います。契約時には「何としてもこの物件を借りたい」という思いが強くなり、契約内容の確認を忘れてしまいがちです。
そのため、契約前には必ず契約書の全ての事項を確認しましょう。さらに、自分にとって不都合な内容が記載されている場合は、不動産会社と話し合って内容を変更してもらうようにしましょう。状況にもよりますが、熱意を持って交渉をすれば要望を通してもらえることもあります。契約時には冷静になって話し合うようにしましょう。
4. 映画館で黒字経営するコツ
映画館で黒字営業をするためのコツは、上映するジャンルを絞ることがあげられます。大きな映画館を開業する場合は、たくさんのスクリーンを設置できるため上映する映画を選ぶ必要はありませんが、1スクリーンしかないミニシアターを開業する場合は、たくさんの映画の中から上映する作品を1つに絞らなければなりません。
そこで、あらかじめ映画館のコンセプトを決めて、上映するジャンルを絞れば定期的に通ってもらえる固定客を獲得できます。ホラー専門、戦争映画専門、音楽ドキュメンタリー専門というようにジャンルを絞れば、「この映画館に行けば、必ずこのジャンルの映画が楽しめる」と認知してもられるようになるでしょう。
5. 映画館の開業に成功した事例と年収
映画館を開業した経営者に中には、年収が1,000万円に達した人もいます。ある経営者は座席数を少なくしたマイクロシアターを開業することで、売り上げを伸ばしています。音響設備などには力を入れながらも、座席数を50席程度にすることで無駄をなくしました。さらにスクリーンは1つでも、毎週いろいろな作品を上映することで多くのお客さんを集めることに成功しました。
6. 映画館の開業に必要な資格・許可
映画館の開業に関しては、興行場法に基づいて都道府県知事への許可申請が必要です。基本的には最寄りの保健所で許可申請を行います。
許可が下りる条件としては、構造設備や衛生設備の条件を満たしていることがあげられます。事前に興行場法について調べて準備をしておきましょう
7. まとめ
映画館の開業資金は、地域や規模によって大きく異なります。複数の大型スクリーンを設置した映画館なら2億円の資金が必要ですが、ミニシアターのような映画館なら1,000万円ほどで開業が可能です。
映画館の開業のために必要な資金の調達については、銀行や信用金庫などの金融機関がおすすめですが、状況によっては映画ファンや映画の配給業者からの出資を依頼できます。依頼をするときには、経営計画や返済計画が記載された事業計画書を提出しましょう。