行政書士事務所を開業して、黒字経営を目指す人に成功するコツをお伝えします。必要な開業資金やランニングコスト、資金の調達方法を紹介。物件選びのポイントと注意点もまとめています。行政書士の平均年収も気になるところではないでしょうか。
行政書士の資格を得た後に、開業して業務を始める人は少なくありません。それは、弁護士や税理士と異なり就職先が限られていることに加え、比較的新規で開業しやすい職業であるためです。
行政書士事務所を開設するための初期費用やランニングコストを紹介していますので、開業を検討している人はぜひ、参考にしてください。
また、行政書士の資格を得たものの、黒字経営にするためにはどんな物件を探せばいいのか迷っている人に向けて、最適な物件の選び方を紹介します。
もくじ
1. 行政書士事務所の開業資金
学生のうちから行政書士での開業を目指し勉強を始めている人もいれば、会社を退職して独立開業しようと計画している人もいるでしょう。
行政書士は毎年5,000人位の人が試験に合格して、約半数が行政書士の登録をして事業に乗り出しています。その反面、およそ1,700人が行政書士の仕事を廃業しているのが現状です。
まずは、行政書士事務所を開業するための初期費用の内訳、開業後に必要になるランニングコストの紹介をしますので、事務所開業に向けて準備していきましょう。
1-2. 初期費用と内訳
行政書士としてひとり立ちをして黒字経営にするために、どこに事務所を開設するか迷われるかと思います。物件選びをする時のポイントは後ほど詳しくお伝えしますので、ここでは考えられる2つの選択肢で必要な初期費用をまとめてあります。
自宅で開業するか、賃貸物件で開業するかによって初期費用に大きな違いがあります。
初期費用をより節約するためには、自宅での開業を検討されるでしょう。空いている自宅の一室を事務所として使用できれば、開業資金が少なくなります。事務所ですので、デスクやイスなどの最低限の準備で開業できるのは、大きなメリットと言えます。
賃貸物件をかりて事務所をオープンする場合には、家賃や礼金、不動産会社に支払う手数料がかかります。
居住用に契約する場合と違い、事務所として契約をすると敷金に当たる保証金を3〜6カ月以上支払うことが一般的です。そのため、契約時に家賃の5〜6倍以上の初期費用かかりますので、気をつけましょう。
物件の契約金以外に事務所を開設したことをお知らせする広告費が初期費用として必要です。
事務所を開業するということは、どこかの企業に就職することとは異なり、すべてひとりで担当していきます。事業を軌道に乗せるためには、ひとりでも多くの人に存在を知ってもらうことが鉄則です。チラシやホームページ作成費用なども、きちんと準備しておきましょう。
また、どこで開業するのかにかかわらず、行政書士としての登録に約30万円かかります。
そのため、賃貸で事務所を開業する場合には、約200〜300万円が初期費用としての目安です。
1-3. ランニングコスト
賃貸契約をして事務所を開業するとまとまった初期費用がかかりますが、行政書士としての収入が安定するまでには、毎月のランニングコストも計算して準備しておくことをおすすめします。
ひとりで事務所を切り盛りする場合には、人件費はかかりません。
考えられるランニングコストは毎月の家賃、広告費、光熱費に、行政書士としての知識を磨くために書籍の購入やセミナーなどの参加費になります。事務所が自宅から離れている場合には、交通費がかかります。
この点からも、自宅で開業すると初期費用とランニングコストに大きな違いがあります。行政書士の仕事や集客のための営業に集中できるように、約1年間のランニングコストを用意しておくと集客に時間を使えます。
2. 行政書士事務所に必要な開業資金の調達方法
行政書士として自立するまでに必要な資金を貯蓄でやりくりできれば理想ですが、計画通りに行かないことやタイミングなどもあるでしょう。
十分な資金が用意できなかった場合におすすめの資金調達方法は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。
中小企業向けに支援を実施している日本政策金融公庫ですが、新しく事業を立ち上げる人向けにも支援制度を準備しています。
資金調達先として銀行を思い浮かべる人もいるかと思いますが、銀行から資金を借りることは新規の人にとってはハードルが高くなります。銀行より信用金庫や、自治体が独自で展開している融資制度の情報を調べてみましょう。
3. 行政書士事務所に最適な物件の選び方
行政書士事務所を開業するために、最適な物件を見つけるためのポイントを3つお伝えします。場所選びをしっかり考慮して選択することが、黒字経営に結びつきます。
3-1. 物件選びの3つのポイント
保証金や毎月の家賃、そして事務所に通うための通勤費などのコストが掛かりますが、賃貸物件で事務所を始めると、ダーゲットを絞った事務所の運営ができます。
インターネットや郵送で進められる業務もありますが、利用者にとって便利な立地に事務所があることが黒字経営には必須です。
そして、どの分野に力を入れて自立していくのかを決定すると、物件を探しを効率的に進められます。
・繁華街などの密集エリア
レストランやカフェ、バーを開業する時に必要になるのが、飲食店許可申請です。また、営業内容によっては深夜酒類提供飲食営業許可申請も必須になります。
これらは比較的小さな面積でも営業が始められるために、限られた範囲に店舗が密集していることがよくあります。
レストランなどの飲食店向けに行政書士業務を行う場合には、繁華街に近いエリアに物件を見つけましょう。
・大企業の支店や工場が点在するエリア
国の方針も大きく影響して、日本で暮らす外国人の数が大幅に増えています。そのため、就労ビザや帰化、永住権の申請時に行政書士の仕事が求められます。
日本で暮らす外国人をサポートすることに重点をおいて起業していく場合には、大きな企業があるエリアやすでに外国人が多く居住している地区がおすすめです。
・同業者が少ないエリア
建築や産業廃棄物などの分野を専門にしていく場合には、行政書士事務所が少ない地区を選びましょう。建築関連の行政書士業務は安定して仕事があることから、人気の分野です。
需要が多く見込まれる反面、競争率が高いですので、同業者の進出が少ない場所で物件を探すことを意識すると新規の顧客が見つかりやすくなります。
3-2. 契約時の注意点
契約が主な仕事になる行政書士なら、賃貸契約を結ぶときにも心配はないでしょう。それでも、灯台下暗しや弘法も筆の誤りという言葉もありますので、2点だけ注意点をお伝えします。
事務所として契約を交わす時には、保証金が通常の敷金以上にかかります。そして、退出前の連絡も3〜6カ月以上前に必要となるケースが目立ちます。居住用の賃貸契約とは大きく異なりますので、契約書できちんと確認をしてください。
4. 行政書士事務所で黒字経営するコツ
行政書士の仕事は、1度の依頼で終わることがほとんどです。税理士なら毎年確定申告のたびに依頼されますが、行政書士は多くの場合その時の依頼のみになります。
そのため、黒字経営のコツは営業です。行政書士で開業していることを多くの人に知ってもらうことが最大のポイントです。チラシやホームページなどを活用して、積極的にアピールしていくことが黒字経営の第一歩です。
また、ひとりの人との仕事が1度きりで終わったとしても、その人に満足してもらえれば、知り合いを紹介してくれることにつながります。ひとつの仕事を大切にしていきましょう。
5. 行政書士事務所の開業に成功した事例と年収
行政書士の年収は平均すると600万円と言われています。平均値ですので、これ以下の人もいれば数千万円稼いでいる人も実際にいます。
自宅で事務所を開業して、今では行政書士として自立するための相談を積極的に行っている人もいます。
「行政書士は儲からない」とも言われますが、営業の仕方と信頼を得ることで成功できる職種でもあります。
6. 行政書士事務所の開業に必要な資格・許可
行政書士事務所を開業するために必要な資格や許可は特にありません。行政書士の試験に合格をして、行政書士登録費を支払えば誰にでも始められます。
それでも、事業を始める時に事業届と青色申告承認申請の届け出を税務署ですませておきましょう。自宅であれ、賃貸物件であれ、事務所を開設と同時に届け出を完了させておくと安心です。
7. まとめ
いかがでしたでしょうか。
行政書士事務所を開業して黒字経営を目指す方に基本となる情報をお伝えしました。行政書士としての力量も大切ですが、ランニングコストなどの開業資金、資金の調達方法、物件選びのポイントや注意点などの情報を把握しておくことも欠かせません。
行政書士事務所の開業を目指す人が、ひとりでも多く黒字経営で事業を続けていくことを願っています。