ワインバーは目新しいものではありませんが、コンセプトを工夫することでまだ十分に稼ぐことができる余地がある分野です。ここではワインバーの開業資金や必要な資格について解説します。
ワインバーはさまざまな場所で出店されており、それほど目新しいものではありません。
飲食店自体も数が増えていますし、競争も激しくなってきました。
そのため誰でも気軽に開業して利益が出せる、というものではないと言えます。
ですがお客様に受け入れられるようコンセプトを練り、お客様に合わせたサービスを提供できれば黒字経営をすることは十分に可能です。
とはいえ開業までにどんなことをするべきなのか、どのくらいの資金が必要なのかピンとこない人も多いかと思います。
そこでこの記事ではワインバーの開業資金や必要な段取り、黒字化するためのポイントについて解説します。
もくじ
ワインバーの開業資金
ワインバーを開業するときには設備を整える費用もランニングコストもしっかりかかります。
どのくらいの費用がかかるのかわからないと、どう切り盛りしたらよいのかわからないですよね。
またワインバーは初期費用がかかりがちですが、物件の選び方を工夫することで初期投資を抑えて運営も可能です。
ここではワインバーを開業するときの初期費用と開業資金の内訳やランニングコストについて具体的に解説します。
初期費用と開業資金の内訳(設備)
ワインバーを開業するために必要な初期費用には以下のものがあります。
・店舗を借りるための初期費用
・リフォームに必要な資金
・ワインの仕入れ代
中でも店舗を借りるための初期費用が特に気になる部分でしょう。
店舗運営の場合には保証金が半年〜10ヶ月分必要になります。
そのため例えば30万円の物件であれば、300万円程度かかることも。
リフォームにもある程度の資金が必要です。
費用を少しでも抑えたいのであれば、居抜き物件を狙うのがおすすめ。
居抜き物件とは内部のキッチンなどの設備がそのまま残った物件のこと。
店舗設備などを新調しなくても一部の設備が再利用できるため出費を大幅に抑えられます。
ただし内装や設備など痛んでいるものをそのままにすると、お客様に「お金があまりないお店なんだな」と見透かされてしまう可能性も。
費用を抑えることは大切ですが、かけるべきところにはきちんと費用をかけることが大切です。
ワインバーで当然大切になってくるのがワインの仕入れ代です。
ワインバーとなればどんなワインを選ぶのか手腕の見せ所だと言えるでしょう。
高価なワインを仕入れる場合、総額が内装や初期費用ともそれほど変わらなくなることも。
大まかな費用の内訳は、物件などによって大きく変わりますが、概ね以下のようになります。
・物件の初期費用(100万〜300万円)
・リフォーム代金(100万〜500万)
・ワイン仕入れ代(200万〜400万)
ワインバーの開業にかかる費用は平均すると、700万円〜1500万円程度かかります。
ただし居抜き物件を活用することができればリフォームにかかる費用を大幅に抑えられますので、あくまで参考程度に考えましょう。
そのため初期費用を抑えるのであれば家賃はもちろんのこと居抜き物件をいかにうまく見つけるかも大切になります。
ランニングコスト
バーの運営にかかるランニングコストは以下の通りです。
・家賃
・人件費
・ワインなどの仕入れ代
ワインは賞味期限を気にする必要が少ないため、商品の処分にかかるリスクはそれほどありませんが、ワインの付け合わせに欠かせない肉やチーズの管理が大切になります。
人件費を抑えたいのであれば一人で切り盛りすることも選択肢ですが、負担も大きくなりますしあまりおすすめできる選択肢ではありません。
ワインバー経営に必要な資格一覧
ワインバーを経営するにはいくつか取得が必須な資格や届出が必要なものもあります。
こうしたものを出さないでいると、最悪の場合警察に逮捕されてしまったり、営業停止処分になってしまうことも。
ここではワインバー経営に必要な資格について詳しく紹介します。
必要な資格
ワインバーの経営に必要な資格や届出は以下の通りです。
・食品衛生法に基づく営業許可
・食品衛生責任者
まず開業から10日〜2週間前程度で食品営業許可申請を出さなければいけません。
保健所で現場検証が入ることもあるため、内装や設備などはしっかり完成させておきましょう。
食品衛生責任者は半日ほどの講習で取得できる資格です。営業を開始する前までに保健所に届け出ましょう。
この2つはどのような営業形態をとる場合でも必要になりますので、忘れずに取得手続きを行いましょう。
ワインバーの形態によっては以下のものも必要になります。
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出
・特定遊興飲食店営業許可
・防火管理者専任届
・防火対象物使用開始届出書
・火を使用する設備等の設置届
深夜酒類提供飲食店営業開始届出は午前0時以降もお客様に酒類を提供する場合に必要になります。警察の生活安全課に届出ましょう。
特定遊興飲食店営業許可はお店でダーツやカラオケを施設を兼ねる場合に必要になります。
ただしこの許可は近くに学校や病院がないかなど細かい規定があります。
そのためダーツやカラオケなどの設備の導入を検討する場合には必ず事前に警察署に確認しておきましょう。
防火管理者専任届は店舗収容客が30人以上の物件の場合に必要な届出です。
消防署への届出が必要になります。
これらの届出は条件を満たしているのであれば、対応する部署に必ず提出しなければいけません。提出しないまま営業してしまうと、風営法に違反し営業停止処分になってしまうことも。
防火対象物使用開始届出書は建物の使用開始7日前までに消防署に届け出る必要があります。
工事を伴う場合には防火対象物工事等計画届出書も提出しなければいけません。
新しく厨房設備や給湯湯沸設備、温風暖房機の設置をする場合に火を使用する設備等の設置届が必要になります。
上記の対象設備を設置する前に消防署に届け出ましょう。
あった方が望ましい資格
ワインバーの経営するのであればあった方が望ましい資格もあります。
例えば以下のものが挙げられるでしょう。
・ワインソムリエの資格
・調理師免許
これらの資格は取得していなくてもお店の営業には影響しませんが、持っているだけでお客様への信用度が高められます。
ワインソムリエはワインバーの経営をするためにあった方がよい資格であることは間違いありませんが、試験の難易度が高く取れないという人もいるでしょう。
調理師免許は必須だと思われる方もいるかもしれませんが、実は持っていなくても営業できます。料理の信頼性に関わるため持っておいた方がよいですが、最悪調理師免許を持っていない場合でも問題になることはありません。
もし取れるのであれば、チーズの専門知識などの資格も取っておくとよいでしょう。
チーズの関連する資格複数あるためどれがよいとは一言では言えませんが、自分の運営したいバーのコンセプトに合わせたものを取得してみてもよいかもしれません。
ワインバーの開業に適した物件と立地条件
「ワインバーの開業におすすめの場所はどこなの?」
そう疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
一口にワインバーと言っても、そのコンセプトによって出店するべき場所は変わります。
ここではワインバーの開業の候補としておすすめな場所のメリットとデメリットを解説します。
駅前
駅前は通勤帰りのお客様が利用しやすく、終電間際まで利用してもらいやすい場所です。
利便性は高いものの、その分家賃が高額になりがちになりますし、競争が激しくなりやすいことがデメリット。
この立地であれば会社帰りのサラリーマンをターゲットにするのがおすすめです。
ただしその駅ごとに特徴がありますので、事前のリサーチはしっかりと行いましょう。
繁華街
繁華街は飲食店が多く競争が激しいですが、集客も見込みやすいです。
こちらの場合には夜でも繁華街にいることが多い20代〜40代くらいの人たちが主なターゲットになるでしょう。
競合がどうしても多くなるため、周囲にどんなお店があるのかよく調べ差別化を図らなければ営業し続けるのは難しくなってしまいます。
競合の分析には時間をかけ他にはない独自性を出せれば集客しやすい分黒字化しやすくなります。
住宅街や路地裏
住宅街や路地裏の人気が少ないところでも営業は可能です。
家賃が安くなるためランニングコストを抑えられますが、人通りが少なく集客難易度は高いのがデメリット。
ただしうまくコンセプトを決めお客様に受け入れられると、かかる経費も少ないため営業が楽になります。
リピーターを増やすことができれば、そこから紹介してもらいやすくなりますし、口コミは大きな力を持っているため集客上のデメリットを十分にカバー可能です。
内装やコンセプトを工夫し「隠れ家」のような雰囲気を演出することができれば、どうしても絡まれてしまいやすい女性にも人気が出やすくなるでしょう。
ワインバーを黒字経営するためのコツと成功事例
ワインバーで黒字経営するにはターゲット層に受け入れてもらえるコンセプトを打ち出せるかどうかがとても重要です。
ワインバー自体はそれほど真新しいものではないため、それ自体に独自性があるものではありません。
ですが、内装の雰囲気や周囲の状況をよくリサーチして他にはないコンセプトを提示することができればお客様に受け入れてもらいやすいお店経営が可能になります。
ここではワインバーを黒字経営にするためのポイントを具体的に紹介します。
ターゲットを決め、コンセプトを打ち出す。
ワインバーを黒字化させるためには、ターゲットに受け入れられるコンセプトをきちんと打ち出せるかどうかがとても大切です。
そこで受け入れてもらうためには事前のリサーチが欠かせません。
・お店の周りにはどのような人がいるのか
・どのようなお店がありどんなお客様をターゲットにしているのか
・ターゲットにした人物にその近辺にはない新しいものを提供できないか
この点をしっかりと調べて検証しましょう。
ここでコンセプトがしっかりと決まると他の物事をスムーズに決められます。
・どんなお酒を仕入れるのか
・どんなフードメニューを用意するのか
・内装の雰囲気はどうするのか
・独自のサービスを打ち出すかどうか
これらのことは事前のリサーチをしっかりしてから決めても遅くはありません。
収支管理を行い現状分析を丁寧にする
収支管理はワインバーに限らず重要な項目ですが、意外にないがしろにされがちな部分です。
飲食店は毎日細かくお金が動くため管理しきれず放置されがちになります。
収支管理を行うことで、現状の問題点や課題を浮き彫りになります。
例えば赤字である場合にはどの部分で出費が多くなっているのか、そもそも収益が十分ではないのか、その原因もはっきりさせやすいです。
原因がはっきりすれば次を解決すればよいのか、改善策が出てきますので、赤字を脱出し黒字化しやすくなりますよ。
お酒の仕入れ先をしっかりと確保する
ワインバーの経営ではお酒の仕入れ先の確保は経費の最適化を図るためにも大切です。
ですが、それ以上に情報を仕入れることができることがメリット。
酒屋さんでは他のバーの状況をより把握しており、友好的な関係を築くことで情報を手に入れやすくなります。
さらに試供品などをもらえることも。
開業までの準備は入念に
開業までに準備することはたくさんあります。
・内装や設備工事を完了させる
・仕入れ先の開拓
・様々な資格や届出の提出
・集客のための広報活動
・人員の確保
細かくあげればそれこそキリがありませんが、これらをしっかりと間に合わせることでスムーズに業務を流せますし、分析など業務改善のための時間に当てることもできます。
逆に準備が十分にできていないと、予約がない日を臨時休業して準備にあてるなんてことにもなりかねません。
こうした事態を避けるためにも事前の準備をしっかりと整えておきましょう。
まとめ
今回はワインバーの開業資金や必要な段取り黒字化させるためのポイントについてお伝えしました。
ワインバーは今となってはそれほど珍しくもないものではありますが、出店する環境やコンセプトの打ち出し方によっては十分に利益を出すことができます。
ここにある情報を参考に、ワインバーの開業を検討している人は出店予定の場所のリサーチをしてコンセプトを固めることからはじめてみてはいかがでしょうか。