託児所を開業するには350~500万円の初期費用や100万円のランニングコストがかかります。自己資金を用意するのが一番の方法ですが、足りない場合には低金利で融資を受けることができる国民生活金融公庫がおすすめです。託児所の開業資金や黒字経営のコツなどをまとめました。
託児所を開業するときにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
託児所に必要な開業資金やランニングコストをまとめましたので、開業を考えている方は参考にしてください。さらに、黒字経営のコツもわかりやすく紹介しています。託児所の経営について具体的なイメージができるでしょう。
もくじ
1. 託児所に必要な開業資金
託児所の開業を検討するときには、最初に必要な開業資金を把握しておきましょう。開業資金は、初期費用とランニングコストにわけることができます。
1-1. 初期費用と内訳
託児所の規模にもよりますが、350~500万円の初期費用がかかるでしょう。主な内訳は以下のとおりです。
・物件取得費
子どもを預かる場所を確保するために物件の取得はかかせません。物件を取得するときには、家賃のほかに保証金や敷金、仲介手数料などがかかります。保証金は契約する不動産会社によって異なりますが、一般的には6~12カ月分の保証金が必要でしょう。家賃15万円の物件で、10カ月分の保証金が必要な場合は、物件取得費として165万円がかかります。
・内装工事費
取得をした物件については、内装工事が必要です。子どもたちが快適に過ごせる内装に変えるようにしましょう。内装工事費は依頼する業者によって異なりますが、一般的には1坪あたり10万円はかかります。20坪の物件を取得した場合は、200万円は必要です。
・宣伝広告費
子どもたちを集めるためには宣伝が必要です。宣伝方法にはチラシやウェブなどがあります。宣伝方法によって費用は異なりますが、40万円は用意しておきましょう。
・家具や家電
託児所で必要な家具や家電として、パソコンやFAX、デスクやベビーフェンスなどがあります。託児所の規模によっても異なりますが、50万円は必要です。
・医薬品
万が一のために、医薬品は必ず用意しておきましょう。おもな医薬品として体温計や包帯、おむつやばんそうこうなどがあります。3万円分は用意しておきましょう。
・おもちゃや食器
おもちゃや食器にかける費用は、託児所の規模によって異なります。子どもたちのためにも、おもちゃはそろえておきましょう。20万円の費用をかけるのがベストです。
1-2. ランニングコスト
ランニングコストについても託児所の規模によって異なりますが、100万円は見込んでおくとよいでしょう。おもなランニングコストは以下のとおりです。
・家賃
家賃は取得をした物件によって異なります。赤字営業のときにでも家賃は必ず払わなければならないので、借りるときには予算内にとどめておくようしましょう。
・人件費
託児所の運営をするためにはスタッフの確保が必要です。地域によっても異なりますが、社員として雇うなら20万円前後、パートとして雇うなら10万円前後の費用がかかるでしょう。もし社員を2人、パートを1人雇った場合は、毎月50万円の人件費がかかります。
・食事代
託児所によっては食事やおやつを提供しているところもあります。預かる子どもの人数にもよりますが、毎月16万円前後はかかります。
・水道光熱費
水道光熱費は地域によって異なります。毎月3万円ほどは用意しておくとよいでしょう。
・送迎にかかる費用
送迎のサービスがある託児所を開業する場合には、送迎のための交通費が必要です。1カ月あたり1.2万円の費用を見積もっておきましょう。
・通信費
インターネットやFAX、電話代などの通信費も計算しておきます。毎月1万を見込んでおくのがよいでしょう。
2. 託児所の開業資金を調達する方法
託児所を開業するときには自己資金のみで行うのが理想ですが、まとまった資金を用意できない場合は融資などをして資金を調達しなければなりません。国民生活金融公庫などの政府系金融機関は、開業のための低金利での融資を行っているのでおすすめです。
ただし、融資を受けるためには最低でも開業資金の半分を自己資金にする必要があります。開業の計画を立てたなら、少しずつでも資金を集めるようにしましょう。
3. 託児所に最適な物件の選び方
託児所の事業を成功させるためには、最適な物件を選ぶことが大切です。託児所に合った物件を選ぶことで、顧客を集めやすくできるでしょう。
3-1. 物件選びの3つのポイント
物件を選ぶときには以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
・公園から近い
子どもたちを野外で遊ばせる場合は公園がおすすめです。そのため、なるべく公園から近い物件を選びましょう。公園から徒歩で5分以内が理想です。
・駅から近い
子どもを託児所に預ける人の多くは、会社員やパートとして働いています。そのため、駅の近くなど通勤途中にあるなら利用しやすいでしょう。託児所で働くスタッフの側から見ても、駅の近くにあれば通勤しやすくなるという利点があります。
・駐車や駐輪スペースがある
託児所のための物件を探すときには、子どもの送り迎えのしやすさも考慮に入れます。送迎には車や自転車を利用するため、駐車や駐輪できるスペースのある物件を選びましょう。建物だけでなく、建物の周辺についてもチェックしておくことは大切です。
3-2. 契約時の注意点
託児所を開業するために適した物件が見つかったら不動産会社と賃貸契約を結びます。その際に、契約書に記載している契約期間については必ずチェックしておきましょう。契約期間が短いと、更新のたびに契約更新料を支払わなければなりません。契約期間が短いと感じたらサインをする前に相談してみるのもよいでしょう。
4. 託児所で黒字経営するコツ
託児所で黒字営業をするコツはコンセプトを明確にしておくことです。託児所で安定した経営をするには子どもの確保が重要ですが、コンセプトを持っていると子どもを集めやすくなります。英語を学べる託児所や自然と触れ合うイベントを開催している託児所など、あらかじめコンセプトを決めておくようにしましょう。
5. 託児所開業の成功事例と年収
託児所を経営している人の中には年収が700万円以上の人もいます。ある託児所は24時間営業の託児所にすることで成功しました。一般の保育所では18~19時までしか預かってもらえませんが、宿泊施設も完備した24時間営業にすることで、集客アップにつなげることができています。託児所の経営を成功させるためには、保育所にはないサービスを提供することが大切です。
6. 失敗しない託児所の開業・経営方法の種類
託児所を開業するときには、フランチャイズ経営と個人経営の2種類から選ぶことができます。それぞれのメリットを比較して検討するようにしましょう。
6-1. フランチャイズ経営
フランチャイズ経営のメリットは、託児所の運営に関するノウハウを受けることができる点です。ビジネスを始めるときには不安がつきものですが、フランチャイズなら黒字経営のためのアドバイスやサポートを受けることができるので、安心して経営に集中できます。
6-2. 個人経営
個人経営のメリットは、経費をおさえることができる点です。フランチャイズ経営では、ロイヤリティや加盟金が発生しますが、個人で経営する場合にはそうした費用がかかりません。フランチャイズでは、経営に関するアドバイスはもらえるものの、資金に関するサポートはないので注意が必要です。そのため、少ない資金で開業したい場合には個人経営がよいでしょう。
7. 託児所の開業に必要な資格や許可
託児所を開業するための特別な資格はありません。ただし、託児所を開業するときには、スタッフの3分の1以上は「保育士や看護師の資格を有する者」でなければなりません。そのため、資格を持っていない場合は、保育士や看護師の資格を持ったスタッフを雇用する必要があります。
また、乳幼児を6人以上預かる場合は、開業してから1カ月以内に「自治体保育担当部署」で「認可外保育施設設置届出書」の届出を提出しなければなりません。
8. まとめ
託児所を開業するときには、350~500万円の初期費用と、毎月100万円のランニングコストが必要です。国民生活金融公庫などを利用して資金を集めることができますが、安定した経営をするためにも自己資金は用意しておきましょう。
託児所の開業の際にはフランチャイズ経営と個人経営を選ぶことができます。それぞれにメリットがあるので、比較して選ぶようにしましょう。