フランチャイズとのれん分けは、本部からのバックアップの違い、独自性がどこまで認められるかなど、似ているようで異なる部分がたくさんあります。いずれにせよ、どちらにも長所、短所があります。さらに最近出てきた新制度「のれんチャイズ」にも注目です。
ビジネスにはさまざまな方法や手段がありますが、「フランチャイズ」と「のれん分け」にはどのような違いがあるのでしょうか。この2つには、メリット・デメリットのどちらもあります。この記事では、この2つのビジネスの違い、メリット・デメリットについて具体的に紹介します。また新しい制度である「のれんチャイズ」についても紹介しますので、これからビジネスを始めるという方はぜひ参考にしてください。
もくじ
1. フランチャイズとのれん分けの3つの違いとは?
2つの事業の大きな違いとしては、加盟者が「第三者」か、「家族や友人、スタッフ」であるかという点が挙げられます。
フランチャイズの場合は、加盟者は第三者です。そのため、しっかりとした契約を結び、研修などもきちんと行います。一方で、のれん分けの場合には、家族や友人知人、スタッフなどにそのまま事業を引き継ぐことになりますので、スタート時点である程度の信頼関係があります。そのため改めて研修などを行う必要がなく、そのまま譲り渡すことも可能となるのです。
1-1. 事業目的の違い
フランチャイズの場合は、事業目的がすべてパッケージ化されているという特徴があります。経営や営業のノウハウ、サービス、商品の販売拡大の方法など、取引方法がある程度決められていることがほとんどです。
のれん分けの場合は、本部の事業拡大が目的でないケースが多く、どちらかというとほかのスタッフの独立を手助けするという目的での譲渡が多くなります。長年勤務して経験を積んだスタッフにのれんを分け、独立を助けるという形です。フランチャイズとの違いとしては、本部とスタッフの間に契約関係がない場合が多いという点になります。
1-2. 商標やブランドの違い
フランチャイズは、事業全体をブランド化しているため、経営や営業の方法、商品サービスなどがしっかり確立されています。のれん分けは、のれんを継承することが主な目的であるため経営方針やノウハウのシステム化はされていない場合がほとんどです。裏を返せば、その点ではフランチャイズよりも自由な部分が多いと考えることもできます。
1-3. 本部とスタッフの関係の違い
本部とスタッフについて、フランチャイズの場合は事業の仕組み、ノウハウなどブランド化された部分を本部から提供されます。そのため、その対価として本部が加盟金などを受け取るという仕組みになっています。一方のれん分けの場合は、主家と分家の間に商取引は行われず、のれん分けを行うことによって収益が増えるということもありません。しかし時には、主家が問屋で分家が小売店というケースもあるため、この場合は例外です。
1-4 競争優位の戦略の違い
フランチャイズの場合は競合チェーンと差別化し、そこで競争を行いますが、のれん分けの場合は、個別の会社、個別のお店として競争を行います。
1-5.契約関係の解約の場合に起きる違い
フランチャイズの場合は契約関係を解消する際に、契約した内容に沿って解除がなされることになります。契約違反などの事項がある場合、違約金などが発生する可能性もあります。一方のれん分けの場合は、そもそも契約関係を結んでいません。そのため、契約内容についてのトラブルに関しては起こることがないのです。
2. フランチャイズのメリット&デメリット
ここからは、フランチャイズのメリットとデメリットについて紹介します。メリットもあればもちろんデメリットもあるため、よく考えてしっかりと見極める必要がありますね。
2-1. メリット
・本部の指導が受けられる
まず何よりのメリットは、本部から指導を受けながら事業展開することができるという点にあります。知名度が高い会社の経営方針を学びながら、商標やサービスを使用することができるため、たとえ初心者であったとしても比較的成功しやすいのが特徴です。
・材料など、品物を安価で購入できる
商品は基本的に、本部が大量に仕入れてくれます。そのため材料などを安い値段で購入できるというのは嬉しいですね。さらに新商品を開発する際や、販売促進をする際についても本部からの援助を受けることができます。
・教育がしっかり行き届く
商品だけでなく、スタッフへの経営指導や採用、教育などまで本部がサポートしてくれます。そのため、自分でマニュアルを作成したりする手間が省けてその分、仕事に集中できるというメリットもあります。
2-1. デメリット
・本部の方針にはすべて従わなければならない
本部からの手厚いバックアップを受けることができる反面、方針にはすべて従わなくてはならないというデメリットももちろんあります。フランチャイズに加盟している以上当然の制限にはなるのですが、ある程度チェーン店は統一されてしまうため、独自にアイデアを発揮することなどは難しくなってしまいます。
・細かな決まりがある
そのほかとしては、秘密保持の義務や契約期間の途中終了に関する制限など、細かな決まりがあります。これについては、契約を交わしている以上は必ず守らなくてはならない部分ですので、面倒ではあってもメリットを受けるための必要項目と考えるほうがよいでしょう。
3. のれん分けのメリット&デメリット
ここからは、のれん分けのメリットとデメリットについて紹介します。
3-1. メリット
主人の支援を受けながら独立を助けてもらえるという点で、のれん分けにはメリットがあります。例えば優秀で独立を希望している社員だったとしても、フランチャイズビジネスを始めるには自信がないという場合もあります。そういった場合には、のれん分けがおすすめです。
フランチャイズの場合は、ビジネス初心者にとっても始めやすいという点があります。初心者なのでいくらマニュアルがあってもなかなかうまくいかないこともあるでしょう。本部との連携がうまく撮れればいいですが、まず信頼関係を構築することからスタートするので時間がかかる場合もあります。
これに対してのれん分けは、一緒に働いていた主人が認めた人材に店を分けるため、独立した時点で高いのサービスを提供できるというメリットがあります。サービス力の高いお店というのはチェーン店でなくても発展していく可能性を十分に持っています。やり方次第では店舗をさらに拡大することも可能となるでしょう。
3-1. デメリット
のれん分けのデメリットとしては、何らかのトラブルで分裂してしまう場合もあるという点が挙げられます。
例えば個の会社として独立することになりますが、経営方針が逸脱してしまったり、意見が大きく別れてしまったり、なにか不祥事が起きてしまったりすることもあるでしょう。また、のれん分け後にケンカ別れをしてしまうというケースもそう珍しくありません。そうなるとビジネスが壊れてしまう危険性があるため、その点ではリスクが大きいといえますね。
これ以外にもフランチャイズほどマニュアルかされて安定したバックアップがあるわけではないという点もデメリットの1つに挙げられるでしょう。
4. 新制度!フランチャイズとのれん分けを融合した「のれんチャイズ」って?
どちらの方法にもメリットとデメリットがあることがわかりましたが、両方を補う新しい制度として導入されつつある制度が、「のれんチャイズ」です。いわゆるフランチャイズとのれん分けのいいとこ取りのような制度で、初期は援助を受けることができますが、お店をオープンしたあとは自由に経営してもよいという制度です。加盟者の利益も保証されている上に独自の経営を行うことができるということで、現在加盟者が増えている制度です。
5. のれんチャイズを募集している企業・会社
例としてあげられる企業は、「大阪王将」です。大阪王将は、ロイヤリティーの支払いが不要という大きな特徴があります。そのかわり1%の商標使用量を支払うという制度になっています。さらに大阪王将では、新メニューの開発や販売をある程度自由にできるという特徴もあります。もちろん本部からの指導や研修などもしっかり行ってくれるため、スタッフをイチから育てることもできます。
6. フランチャイズとのれん分け、どちらを選ぶ?
以上が、「フランチャイズ」と「のれん分け」の違いでした。これから独立を考えている人にとって、この2つの方法、さらに「のれんチャイズ」と、選択の幅がいろいろとあることがわかりました。どの方法にもメリットがあればデメリットもありますが、会社の経営方針、事業の仕組みなどをしっかり理解し、独立方法を決めていくようにすれば失敗はないでしょう。