ワークマンは主に作業着や現場で必要な商品を扱うお店ですが、ワークマンとフランチャイズ契約を行い独立開業するにはどうすればよいのでしょうか?ここではフランチャイズ契約に必要な資金や条件などを詳しく解説していきます。
現在では作業着と言えばワークマンと言っていいほど日本全国に店舗を展開しているワークマンですが、その店舗のほとんどはフランチャイズ方式によって経営されています。
しかし、今では現場の作業用品以外にもスポーツ用のウエアが安価で入手できる店舗として徐々にその顧客層を広げてきています。
そのワークマンでフランチャイズ契約を行い、独立開業するためにはどのようなことが必要となるのか、詳しく解説していきます。
もくじ
1. フランチャイズ展開しているワークマンの基本情報
ワークマンは作業服や防寒着、安全靴や長靴、合羽の専門店で、チェーン展開をしている働く人のコンビニエンスストアを目指している会社です。群馬県伊勢崎市を本拠地としているGMSベイシアやホームセンターのカインズなどを擁するベイシアグループの一員です。
関東地方を中心として北海道から九州までフランチャイズ展開をしているチェーンストアで、仕事場で使用する商品を幅広く品ぞろえしたあるため、朝、仕事場へ向かう途中でも気軽に立ち寄り、短時間に必要なものを買いそろえることが出来るお店でもあります。
ワークマンは高品質、高機能であると同時に低価格の商品を提供するために製造小売業という業務形態を目指しており、現在は25%の製品を自ら開発し、中国とミャンマー、ベトナムにおいて製造を行っています。
自社開発製品はメーカー仕入れの製品よりも高品質で、購入者からの品質に対するクレーム率が低いことが特徴です。
この会社の一番の特徴には「標準化」です。全国にほぼ100坪の店舗を同じ品ぞろえで展開しています。日本全国どの店舗でも仕事に必要な商品を購入することが出来るという点が、ワークマンが考える働く人へ提供すべき便利さです。
全国の店舗を22のエリアに分けてエリア限定の商品展開を行っていることもこの企業の特色の一つといえます。ワークマンの一番の特徴である「標準化」は店舗を運営するうえで大きなコスト削減を実現することが出来るため、キャッチフレーズである「毎日が低価格」を実現することが出来るのです。
ワークマンはもともと現場作業のプロのための商品を開発してきましたが、その高機能性から一般の顧客からの支持も増えてきています。ですので、近年ではバイクユーザーや釣りを趣味とする人などにも口コミで商品の人気が広がってきています。
また、ワークマンの商品はデザインはシンプルでありながら、高機能であり、なおかつ一般的なスポーツメーカーの商品よりも安価であることから、登山などのアウトドア系のスポーツを楽しむ方の間でも多く利用されています。
このように、プロの現場作業着の専門店としてだけではなく、アウトドアビギナー向けのFieldCore、スポーツ向けのインナーやソックスなどのFind-Out、バイクユーザーやウインタースポーツ、マリンレジャー向けのAEGIS、ランニングやウォーキング向けのATHLE、日曜大工などを行う一般顧客向けのWORKMAN BESTの5つのブランドを展開しています。
2. ワークマンのフランチャイズに関する口コミ・評判
ワークマンのフランチャイズに関する口コミや評判には次のようなものがあります。
・コンビニエンスストアのように夫婦で行う必要はないが、一人で店舗経営を行うことは難しいので親戚などの身内に協力を仰ぐか、アルバイトを雇う必要が出てくる。ワークマンの開店時間が早いため、早朝から勤務する必要があるが、早起きが苦にならなければ問題はないと思う。
・基本的にファッション性が求められる業種ではなく、主に機能性に関する商品知識が必要になるため、商品に関する勉強は欠かせない。しかし、前にも述べたようにファッション性が高い用品店と異なり、値引きすることが少ないので、高い利益を得ることが出来る。
・営業時間が長く、店休日も少ないので、仕事自体はハード
3. ワークマンのフランチャイズは儲かる?年収は?
フランチャイズに加盟するためには開業資金350万円が必要となりますが、初期の段階で来客数が少ない場合、店長は将来に不安を感じるでしょう。その不安を払しょくするプランがワークマンのフランチャイズ契約にはあります。
それは「Bタイプ」と呼ばれている1年間の業務委託契約です。月間売り上げが350万円をこえるまではワークマン本部から店舗運営費として毎月50万円が支給されます。月間売り上げが350万円を超えた場合には毎月50万円プラス超過分の3%が歩合給として支給されます。
この「固定給50万円+歩合給」で店長は生活できる仕組みになっています。このように売上高が低くても固定給が保証されており、その後月間売り上げが350万円を超えた場合にも、補填された形となる固定給を返済する必要がないことが、ワークマンのフランチャイズ契約の大きな特徴です。
ワークマンの1店舗あたりの一年間の平均売り上げは9,700万円となっていますが、いきなり1億円近くを売り上げる店舗になることはまずありえません。数年かけて店舗と人員を育て、年間売上高が6,200万円を超えると通常のフランチャイズ契約に移行し、この時点で月給方式から粗利益額分分配方式に契約内容が変わり、粗利の4割が店長側の取り分となります。
しかし、このように一店舗当たりの平均的な売上高から6割をワークマン本部に納めても4,000万円弱が店長の手元に残ります。ここから店舗の水道光熱費やパート・アルバイトの人件費を支払った金額が店長の収入となるので、フランチャイズ契約の場合の平均年収は1,032万円となります。
4. ワークマンにフランチャイズ加盟する3つのメリット
4-1. 出店立地は本部が探す
他の業種、飲食店を例にとると、フランチャイズ契約の場合、自分で出店する土地と店舗を確保する必要がある場合が多く、さらに加盟金や研修費などを含めると、開業するための初期費用として数千万円が必要になるケースもありますが、ワークマンの場合は出店する土地と店舗の確保はワークマン本部が行うため、少額の初期費用で事業を始めることが出来ます。
4-2. 年間売り上高が6,200万円を超えるまでは固定給が支払われる
月間売上高が350万円を超すまでは店舗運営費として毎月50万円、350万円を超えた場合には50万円の固定給にプラスして超過売上分の3%がさらに歩合給として支給されます。コンビニエンスストア経営などの場合、月間売上高が目標に届かなかった場合に補填する「最低保証制度」と似ていますが、この最低保証制度が返済の必要があるのに対して、ワークマンの固定給は返済する必要がありません。
4-3. 店長は販売に集中できる
近年では、ワークマンはいわゆる「作業着」だけではなく、スポーツやバイクユーザー向けのプライベートブランドを販売しており、その売り上げ構成比は売り上げ全体の約20%を占めています。これらの商品のPR活動は積極的に行われており、アウトドア関連のプライベートブランド商品発表会を開催しています。
それ以外にも専門誌への商品掲載など新たな顧客に対するアプローチを積極的に行っているため、店舗を運営する店長は販売や店舗管理に集中することが出来ます。
5. ワークマンにフランチャイズ加盟する3つのデメリット
5-1. 開店時間が朝早い
稼働が朝7時からと早いため、かなり早起きをする必要があります。開店の5分前には開店準備を済ませておかなければならないため、朝が苦手な人には向かない業務形態であるといえます。
5-2. 売り上げが上がらないと収入も上がらない
ワークマンはフランチャイズ契約をする際に、加点主義を徹底しているため、他の業種のフランチャイズより稼ぎやすいことが特徴ですが、やはり売り上げが上がらないことも考えられ、それによって収入も上がらない状態が続くこともあります。
サラリーマンのように毎月決まった額の収入があるわけではないので、脱サラしてフランチャイズに加盟することを考えている方にとっては一番の不安要素であるといえます。
5-3. 店休日がほとんどない
ワークマンの店舗はほとんど店休日がありません。中には年末年始も営業している店舗もあります。ですので、サラリーマンのように週休二日という考えでは店舗を運営していくことは難しいでしょう。
6. ワークマンのフランチャイズ条件・契約内容
ワークマンのフランチャイズ契約にはAタイプとBタイプがありますが、まず双方に共通する条件は以下の通りです。
・25歳以上60歳くらいまでの健康で体力に自信がある方。健康診断書の提出が必要
・個人で契約すること
・契約者本人が専任となって店舗の運営を行えること。契約者が副業や兼業で店舗を運営する場合は契約できない。
・通勤40分以内の範囲に住んでいる地元の方
・夫婦又は親族で参加が可能な方。単身参加の場合には、パート勤務者を2名以上採用できる方
・小売業や接客業の経験がなくても、人と接し、会話することが大好きな方
契約内容には売り上げに応じて収入額が決まる成果報酬型のフランチャイズ契約であるAタイプと、一定の収入を保証した低額保証型の業務委託契約であるBタイプがあります。
7. ワークマンのフランチャイズの将来性は?
ワークマンの2018年3月期の売り上げは、全体で797億円となっており、現在のところ業績は安定しているといえます。ベイシアグループの中核企業であるため、そう簡単につぶれるとも考えられず、ニッチな業種であるため、強力なライバル企業も存在しないことから固定客も多く、急激に業績が悪化することは考えにくいでしょう。
このことから、今のところ将来性に関しては問題はないと考えられます。
8. ワークマンのフランチャイズで独立開業する方法
ワークマンのフランチャイズで独立するためには諸費用が必要になります。その費用とは加盟店75万円、開店手数料100万円、研修費25万円、保証金100万円、開店時出資金50万円の合計350万円となっています。
このうち保証金の100万円は契約満了解約時に返還されます。
しかし、この金額を支払えばフランチャイズ契約を行えるわけではありません。まず、加盟店契約説明会に参加し、十分な説明を受けます。次に履歴書を提出し、本人の了解を得たうえで身辺調査や適性検査を行います。
さらに担当者による面接、部長面接のあと、既存店3店舗の見学を行い、実際の店舗運営状況の確認などを行います。それらをクリアして最終的に東京本部で社長による最終面接を行い、フランチャイズ契約を結ぶことが決まると、9日間の研修を受けたのちに、晴れて独立開業の運びとなります。
9. まとめ
ここまで、ワークマンとはどのような企業なのか、ワークマンのフランチャイズの口コミや評判、ワークマン店長の年収や、ワークマンで独立開業する場合のメリットとデメリットについて解説してきました。
合わせてワークマンで独立開業するまでの流れも説明してきました。このことからフランチャイズ加盟料を支払えばだれでもフランチャイズ契約を結ぶことが出来るわけではないこともお判りいただけたと思います。
ニッチな商品を扱う企業であり、ベイシアグループの中核企業であるため、ここしばらくの将来性は明るいといえますが、現場の店長として店舗を運営していくためにはかなりの労力も必要です。
ワークマンで独立開業すれば年収1,000万円も夢ではありませんが、その前に自分が店長職に向いているかどうかなどをよく考えて、行動するようにしましょう。