衰退しているガソリンスタンドビジネスだからこそ、いかに顧客に満足してもらうかが開業するうえで重要になります。ガソリンスタンドビジネスにおいて、一体どんな開業・経営方法が必要になるのでしょうか?ここでは開業資金やランニングコストなどの基礎情報をはじめ、成功のコツなどを紹介しています。
ガソリンスタンドの開業において開業資金はとても重要です。特に独立開業する場合は、最低でも1,000万円は必要になると言われています。また経営を維持するためのランニングコストも必要になりますから、資金繰りがとても重要になるでしょう。まずは、資金や内訳について学びましょう。
もくじ
1. ガソリンスタンドに必要な開業資金はいくら必要?その内訳は?
近年のガソリンスタンドの減少を考えると、開業は非常に需要があります。しかし開業するとなると当然資金が必要になります。ここでは、ガソリンスタンドの開業資金と初期費用・ランニングコストの内訳を説明します。
1-1. ガソリンスタンドの開業資金
開業するには、一般的に独立かフランチャイズ加盟の大きく2つに分けられます。最近はフランチャイズ加盟される企業が増えていますが、独立よりもコストがかからないので比較的開業しやすいでしょう。しかしガソリンスタンドの場合「危険物取扱者」が必要になるため、開業資金だけでなく資格や許可なども重要になってきます。これについては後述しますので、まずはどれくらいの開業資金が必要になるのか見ていきましょう。
開業資金は、「ガソリンスタンドだから〇〇円必要」という明確な金額は定められていません。よって、事業全体で言うと「最低1,000万円」。もちろん最低1,000万円は用意したほうが良いというだけでそれ以上かかる可能性も十分考えられるでしょう。なかには5,000万円前後必要になったケースもありますから、多めに用意していて損はしません。内訳については次で説明しますが、基本的に開業資金=自己資金+金融機関になります。ですので、最低1,000万円の開業資金の半分は自己資金となり、残りを公庫などで借りることになるでしょう。
1-2. 初期費用の内訳
先ほど1,000万円の開業資金は半分を自己資金、残りを公庫などで調達すると説明しました。もちろん500万円以上の自己資金でも構いませんが、簡単に貯まる金額ではないので300~500万円準備できれば十分でしょう。
そもそも1,000万円の開業資金はどんなことに使われるのかというと、「店舗」「内装・外装」「設備」などです。ガソリンスタンドなら経営できるだけの立地が必要になりますから、多少高くても物件選びが非常に重要になります。このとき、ランニングコストも頭に入れておいてください。半年~1年分程度かかると想定しておくと資金も調達しやすくなるでしょう。平均では100~200万円のところが多いので、初期費用として最低でも100万円、余裕をもって200万円用意しておくと安心です。
一方内外装ですが、やはり物件によって異なります。居抜き物件といって、もともとあったガソリンスタンドを利用するケースもあり、この場合多少費用を抑えることができます。それでも最低200万円は用意しておいたほうが良いので、最終的に開業資金は1,000万円以上と言われているのでしょう。
1-3. ランニングコストの内訳
開業資金は、初期費用だけでなくランニングコストも重要になります。というのも、初期費用は変動することがありませんが、ランニングコストは毎月変わるからです。ですから、ある程度余裕をもって準備しておくと安心でしょう。ちなみに、一般的には「開業から3ヶ月分」と言われています。このなかに仕入れ代金や営業費用などが含まれます。
またガソリンスタンドの場合、設備が大きいのでどうしても他の小売業より維持費がかかってきます。古くなった設備を使い続けることはできないので、耐用年数が近づいたら交換する必要もあり、やはりランニングコストは余裕をもって準備しておいたほうが安心と言えるでしょう。
2. ガソリンスタンドの開業資金を調達する方法
開業資金は、自己資金+日本政策金融公庫で調達するケースがほとんどです。そして、ある程度自己資金を準備しておくことで無理なくお金を借りることができます。日本政策金融公庫は最大7,200万円まで借入できるので、開業資金であれば十分準備できます。そのため、なかには資金0円で開業を始める方もいますが、営業開始後の支出を考えると全額借りるのは返金が大変です。ですから、前にも述べたように500万円を自己資金、残りを公庫などで借入したほうが計画的に資金調達できるでしょう。もちろん、公庫以外にも消費者金融や助成金、家族や身内に援助してもらう方法もあります。しかし、安全性や借入額の高さなどを考えるとやはり「日本政策金融公庫」が一番安心と言えるでしょう。
「お金はないけれど開業したい」という場合は、フランチャイズに加盟する方法もあります。フランチャイズの場合、加盟金・保証金などで200~400万円程度の企業が多いので、独立開業が最低1,000万円であることを考えると低料金と言えます。ただあくまで加盟店なので、自由度は低くなるでしょう。一からすべて自分で経営したいという方は、やはり独立のほうがおすすめです。
3. ガソリンスタンドの物件選びのポイントと契約時の注意点
開業では「立地」がとても重要になるため、物件選びは慎重に行わなければいけません。また今回ガソリンスタンドということで、都道府県およびその他官庁の許可が必要になります。さらに、危険物を取り扱うことからある程度の知識・技能が求められます。
それを踏まえたうえで物件を選ぶポイントは、「利便性」です。辺鄙な場所にガソリンスタンドがあっても客足が悪く儲かりません。ですから、利便性は選ぶうえでもっとも重要になるでしょう。もちろん、ただガソリンスタンドまでアクセスしやすいというだけでなく、アクセスするまでの調査も欠かせません。地域のニーズも十分考える必要がありますから、自治体も含めて考える必要があるでしょう。近年は、ガソリンスタンドが減少しています。これに対する国の対策も行われていることから、これから開業を検討している方は自分の意見だけでなく先にも述べたように自治体なども含めて物件選びや対策などをしていかなければいけません。
物件は、多少高くてもその業種に合ったところを選ぶ必要があります。またガソリンスタンドのようにある程度大きい敷地が求められる場合、周囲の環境なども配慮して選びましょう。「魅力的な物件」というだけですぐに契約するのではなく、しっかり確認をしてから納得したうえで判を押すようにしてください。
4. ガソリンスタンドビジネスの問題点と成功のコツ
近年のガソリンスタンドの減少で、開業の需要はあるもののやはり現状は難しくなっています。せっかく開業しても、成功できなければ意味がありません。ここでは、ガソリンスタンドビジネスの問題点と成功するためのコツについて説明しています。
4-1. ガソリンスタンドの減少
ガソリンスタンドの開業で問題になっているのが、何度も述べているように「ガソリンスタンドの減少」です。ガソリンスタンドの減少は高齢化が大きく関係しており、それにより経営を辞めてしまう人が相次いでいるからでしょう。そのうえ人口も減っていますから、ガソリンスタンドの存在意義もなくなっています。実際、地方では公設ガソリンスタンドが増えていると言います。人口が少ない地域では、自家用車が欠かせません。当然ガソリンスタンドの減少は致命的です。
現在国の対策が始まったことで、ガソリンスタンドの開業も以前より始めやすくなりました。国が支援することで助成金も受け取ることができますし、地域のニーズに合ったサービスを提供することで利用者も増えます。ガソリンスタンドでは膨大な設備の使用と更新が必要になりますから、開業を考えている方はそういった対策もしっかり取り入れることで問題点を成功へと変えることができるでしょう。先にも述べたように、公設ガソリンスタンドはその対策のひとつになります。ぜひ経営者になってより良いガソリンスタンドを作ってください。
4-2. 未経験からの出発は厳しい
基本的に独立開業は知識や技能が求められます。そのうえガソリンスタンドは危険物を取り扱いますから、許可と資格が必要になるでしょう。要するに、未経験から出発するのは非常に厳しいというわけです。ですから、給油はもちろんのこと自動車に関する知識も取得しておかなければいけません。またたとえ経営者を雇う場合でも、ガソリンスタンドに関する知識・技能の指導が必要です。自分が経営者になる場合はそれらをすべて自身で習得することになりますが、どちらのケースであってもやはり未経験には難しい世界と言えます。ですから、これらの問題をクリアするためには常にポジティブにどんどん知識・技能を学んでいくことが大切でしょう。
4-3. 新しいサービスを取り入れる
ガソリンスタンド業界が衰退しているため、これまでのサービスでは成功は難しいでしょう。実際、過疎地対策として公設ガソリンスタンドの設置や、水なし洗車ビジネスをはじめていりところなどさまざまな工夫がなされています。とはいえ、それだけでは顧客は満足できないのが現実です。もちろん新しいサービスは他店に対抗できますし、そのサービスが便利であれば売上にも繋がります。しかし、より顧客を満足させるガソリンスタンドビジネスを成功させるためには、「人」に対するサービスも充実させることです。
4-4. 信頼を得る
先ほど述べましたが、ガソリンスタンドビジネスは「車」へのサービスだけでなく「人」へのサービスもとても大切になります。なかでも「トイレを綺麗にする」ことは大きなポイントになっており、ガソリンスタンドはトイレの利用者も非常に多く、「給油ついでにトイレへ」という方が少なくないと言います。ですから、目立つ場所にトイレを設置する・常に綺麗な状態にしておくことが大切でしょう。トイレが綺麗だとそれだけで信頼されやすくなりリピーターも増えるからです。
もちろんそれだけでなく、「またここのガソリンスタンドを利用したい」と思われるサービスの提供も重要です。これに関しては先ほど紹介しましたが、お客さんに信頼されるようなサービスを随時取り入れることでよりリピーターが増えるでしょう。
5. ガソリンスタンド経営の成功事例と年収
ガソリンスタンドの経営者が高齢化していることで各地のガソリンスタンドが減少していることはすでにご存知でしょう。平成元年には約58,000ヶ所あったガソリンスタンドも、平成29年には半分近くまで減少。それに加え人口も減り過疎地が増えていることで、国を挙げて対策が行われています。そんなガソリンスタンドビジネスですから、成功するのは至難の業になります。いかに顧客が満足しリピートしてくれるかを考えて経営に取り組まなければいけません。
成功している事例で多いのは、やはり先にも述べたように「サービスを工夫する」「お客さんに信頼してもらう」ことが第一になります。ひと口にサービスといってもさまざまですが、もっとも効果があるのは「料金体系」でしょう。皆さんもご存知のとおり、ガソリンスタンドはブランドや地域によって価格が異なります。安いところもあれば高いところもあり、店舗が多い場所はどうしても価格が安いほど顧客のリピーターが増えます。しかし料金を安くするということは、そのぶん人件費を削減しないと赤字になってしまいます。要するに、痛手となる経費をなるべく抑えることで顧客が喜ぶサービスを提供でき、経営も成功するというわけです。ただ料金が安いだけでは低価格競争で負けてしまう可能性もありますので、「サービスを工夫する」ことが重要になってきます。そのためには接客対応も大切ですし、「また給油をしに行きたい」と思ってもらえるような理由をたくさん用意しておきましょう。
ちなみにガソリンスタンド経営者の年収は、600~700万円程度と言われています。しかしあくまで人件費を削減した場合のケースですので、従業員が多ければ当然600万円以下、ひどい場合は300万円を下回ってしまうことも少なくありません。経営者というと年収が高いイメージがありますが、経営内容によっては普通のサラリーマンと変わらない年収になる可能性も十分考えられるでしょう。
6. 失敗しないガソリンスタンドの開業・経営方法
基本的に、ガソリンスタンドの経営者になるために学歴などは問いません。ある程度、知識・技能は求められますが、資格さえ取得できれば誰でもなれると言われています。しかし、誰でもなれたところですべての経営者が成功できるわけではありません。ここはやはり、「失敗しない開業・経営方法」を学ぶことが大切でしょう。これまで成功事例や成功のコツを紹介してきましたが、何より一番大切なことは「いかに資金繰り計画がきちんとできているか」です。学歴がなくてもガソリンスタンドの経営者になれると言われても、お金がなければはじまりません。またお金があっても計画性がなければ開業してすぐに破綻してしまいます。初期費用は半年~3ヶ月は用意しておいたほうが良いと言われていますが、資金繰り計画がしっかりできていれば失敗しにくいと言えるでしょう。これは、開業方法だけでなく経営方法にも言えることです。いわゆるランニングコストが安定していれば、失敗することはほとんどありません。いかに資金のやり繰りがきちんとできるかが成功のもっとも大きな秘訣と言えるでしょう。
7. ガソリンスタンドを開業するために必要な資格や許可
最後に、ガソリンスタンドを開業するにあたり必要になる許可や資格などを説明します。最初でも述べましたが、ガソリンスタンドの場合、許可と資格がなければ開業できません。許可については消防本部または消防署にてガソリンスタンドを経営する場所や構造などを手続きしますが、同時に燃料の仕入れ先とも契約することになります。許可の手続きだけでいくつかあるので、事前に確認しておくと安心です。
次に資格ですが、ガソリンスタンドは危険物を取り扱うため「危険物取扱者」が必要になります。消防法によって定められているため、最低でも1人資格者を有していないと経営できません。危険物取扱者を雇うこともできますが、やはり経営者なら自分自身も取得しておいたほうが安心です。ちなみに、危険物取扱者の資格は「乙種危険物第4類取扱者」「甲種危険物取扱者」が必要になります。ちなみに、甲種危険物取扱者に関しては非常に試験が難しいと言われています。
8. まとめ
ガソリンスタンドを開業する方法や成功のコツなどを紹介してきました。減り続けているガソリンスタンドだからこそ、知識・技能を身につけて開業を目指してみてください。国からのサポートも受けられる今、ガソリンスタンドの開業は決してデメリットになりません。減っているからこそ需要もありますので、資金の見通しが立ったらぜひチャレンジしてみてください。