脱サラや独立でバルを開業しようと思った時、店舗の開業資金はどれくらいかかるのか気になりますよね。そこで、だいたいどれくらいの金額を開業資金として用意すればバルが開業できるのか、その他にもバル開業を成功させるための3つのコツをご紹介いたします。
バルと言えば、スペインの気楽な飲み屋を想像する人も多いでしょうが、日本でも最近は、バルもすっかり馴染み深いものになりました。
これまでバルに関わってきた人も、全く未経験の人も、バルをオープンしようと思った時、一体どれだけのお金が必要になるのでしょう。店舗のオープンというのは、物件取得費用や内装工事代金、仕入代金など様々な項目でお金が必要になります。
もくじ
1. バルに必要な開業資金はいくら必要?その内訳は?
バルとは、ワイン・ビールなどのお酒類、コーヒーなどのドリンク類、タパスなどのおつまみ、軽食系を提供する飲食店です。ワインをもっと日常で気軽に飲むことが出来るのがバルの魅力です。手頃な価格でおつまみとワインを提供するバルは、数年前から増え始め、バルの名店も数多くあります。
そんなバルの開業資金は、具体的にどれくらいかかるのかということと、初期費用の内訳、ランニングコストの内訳について詳しく見ていきましょう。
1-1. バルの開業資金
バルを開業することになったら、以下の3つの項目に分けて開業資金を用意することになります。
・物件取得費用
・内装工事費用
・開業準備費用
これらの3つの費用を計算していくことで、おおよその開業資金について把握出来ます。
1-2. 初期費用の内訳
物件取得費用
物件取得費用とは、店舗として物件を契約するための費用になります。物件取得費用の中にも様々な項目がありますが、主に保証金が大きな金額になります。
保証金とは?
通常の物件を借りるときにも発生する保証金ですが、店舗契約のときは少し金額も高めになります。家賃の支払いが滞ったり、何らかの事情で物件が破損したりした時など、もしもの時に備えてオーナーに預けなければならない金額になります。
通常の物件では1ヶ月〜3ヶ月ほどの保証金ですが、店舗用物件の場合は、家賃の6ヶ月以上を保証金として支払うことが多いです。保証金ですので、最終的には返却されるお金にはなりますが、必ず返却される訳ではありません。もちろん破損などがあれば、保証金から支払うことになります。
物件によっては、退去を伝えても、次の借主が見つかるまで保証金を返却してくれないとケースもあります。物件の契約前には、保証金についてしっかり確認しておきましょう。
初回の家賃
初回の家賃は、当月の家賃に加えて翌月の家賃を同時に支払うことになります。一般的には家賃の発生日は、内装工事が開始したタイミングになります。内装工事中は、売上が発生していなくても、家賃を支払わなければいけません。
自分が生活していくお金も必要ですので、自己資金としてある程度の余裕があった方が良いでしょう。
仲介手数料
物件を借りる時は、不動産屋に支払う仲介手数料も必要になります。仲介手数料は一般的には家賃の1ヶ月分と思っておくと良いでしょう。
・家賃が20万の物件を借りることになった場合
項目 |
金額 |
家賃(当月家賃と翌月分家賃) |
40万円 |
保証金6ヶ月分 |
120万円 |
仲介手数料 |
20万円 |
合計 |
180万円 |
上記の計算の場合、180万円になりますが、これは最低準備金額であり、その他費用も発生します。
内装工事費用
店舗を開業する時には、オリジナルの内装にするためにも内装工事費用が発生します。内装の仕上げから、空調・照明などの内線設備の工事、店舗のカウンターや棚などの造作工事など、内装工事業者に発注する工事費用と、家具や棚などのいわゆる「什器」と呼ばれるもの全般を内装工事費用でまかないます。
内装は店舗の雰囲気づくりに重要なため、一番お金をかけたいポイントでもあります。内装次第で、バルの経営の波が変わってくるとも言えるため、各オーナーがこだわりを出したいところでもあります。
バルを開業する場合、一般的な内装工事費用としては、坪単価30〜50万円かける人が多いです。10坪の店舗であれば、300〜500万円かかると思っておきましょう。
開業準備費用
開業準備費用は、バルをオープンするまでにかかる諸費用や経費全てを含めたものです。その他、調理器具含めた厨房設備全般、ホームページ作成やオープン前のチラシ作成とポスティングなどの宣伝広告費用、制服、チェア&テーブルなどの家具など細々したものがかかってきます。トータルでは200〜250万円かかることが多いです。
この、物件取得費用+内装工事費用+開業準備費用が、バルの開業資金となります。店舗のエリアにもよりますが、バルの開業費用としては、およそ800〜1,000万円を見積もっておくと良いでしょう。
1-3. ランニングコストの内訳
バルを開業するまでがゴールではなく、開業後がいよいよ経営のスタートです。経営を続けていくためには、ランニングコストをしっかり把握することが大切です。
バル経営をするにはどのようなコストが掛かるのか、その種類を紹介します。また、月の売上額に対しての目安となる割合も示しておきますので、参考にして下さい。
内訳 |
割合 |
原料費 |
30%程度 |
人件費(社員給料、福利厚生費用など) |
30%程度 |
水道光熱費・事務用品含む消耗品 |
12〜15% |
店舗家賃・金利など |
15〜18% |
これらの合計が90%以下になるように収支計画を立てていくようにしましょう。売上10%前後を確保することを目標に経営していくことが大切です。
2. バルの開業資金を調達する方法
開業資金をどうやって集めていくかも気になるポイントです。開業資金の中のどの程度を自己資金として調達すれば良いかも気になりますが、当然自己資金が多いほど、開業後の経営はスムーズです。
自己資金というのは、開業のためにも必要ですが、金融機関や国庫からお金を借りる際にもある程度必要になります。一般的には、開業資金の50%は自己資金として用意できた方が良いでしょう。
そして、開業資金は5年で回収することを目標にしておくと、その後の経営を安心して続けることが出来ます。
3. バルの物件選びのポイントと契約時の注意点
開業する立地を考えよう
飲食店の物件選びは、オフィス街、繁華街、住宅街、学生街など立地タイプが重要になります。バルのターゲットをどの層にするかによって、出店する立地タイプ は異なります。立地によってもちろん客層は違いますし、同じ立地でも集客数が全く変わってきます。
居抜き物件の契約時の注意点
「居抜き物件」という、前オーナーが設置した厨房、空調の設備がそのまま残されている物件があります。居抜き物件は、初期費用を抑えて開業したい人にはおすすめの物件ですが、契約の際いくつか注意するポイントがあります。
前オーナーの内装をそのまま引き継ぐ居抜き物件を探す場合、「造作譲渡料」という資金が発生することもあります。造作譲渡料は、無料のケースもありますが、何百万円もかかるケースもあります。物件を取得する際には、造作譲渡料の有無についてもしっかり確認しておきましょう。
また引き継いだ設備が古すぎて使えない場合、撤去費用が予定外にかかってしまうこともあります。居抜き物件を選ぶ時は、本当にその設備を活用することが出来るのかもしっかりチェックしておくことが重要です。
4. バルのような店舗ビジネスの問題点と3つの成功のコツ
バルのような店舗を開業して経営するに当たって、注意すべき問題点と、3つの成功のコツがあります。順に見ていきましょう。
4-1. 人付き合いが苦手ではダメ、まずは人を好きになろう
人嫌いの人がするバルには、人は集まりません。今は特に、オーナーの感じが悪いとすぐにSNSに悪評を書かれてしまいます。とにかく人が好きで人にお客様のことを大切にするようなオーナーのいるバルに人は集まります。
まずは人を好きになるように努力してみましょう。するとバルの経営が成功する可能性が高くなります。
4-2. メニューやサービスをそのままにしてない?変化をつけよう
開業したままで、ドリンクや軽食のメニューを変えていないまま時が過ぎたようなバルには魅力を感じません。定期的に、お店のメニューやサービスを見直しましょう。
4-3. お金にルーズな人はNG!お金の管理はしっかりと!
何と言っても経営にはお金の管理が必須です。お金の流れはだいたいしかつかめておらず、たまの通帳記入でお金の流れを見るだけ、というようなオーナーでは経営はうまくいかないでしょう。
日々の売上や仕入れなど、金銭管理をしっかりすることは、バル成功への軸となります。バルを経営することになったならば、開業前から日計表をきちんとつけておくことをお勧めします。
5. バル経営の成功事例と年収
バル経営の平均年収は650万円と言われています。そこで、バル経営で成功しているAさんの例を見てみましょう。
Aさんのバルでの月の売上は平均200万円です。
営業日:火曜~日曜(月曜定休)月に24日稼働
営業時間:18:00~3:00
顧客単価:3,000~4,000円
月の売上が200万円いくということは、1日の売り上げは8万円ちょっとです。まずは8万円達成出来るようにと、軽食メニューやセットメニューなど趣向を凝らすようにしました。
バルでは年収1,000万の収入になるためには、月の売上がだいたい150万位上200万程度と言われているため、Aさんも1,000万前後の年収です。
6. 失敗しないバルの開業・経営方法
失敗しないバルを開業し、経営していくためには、以下のことがポイントになります。
・立地が良いところに開業すること
・より良いサービスを提供すること
・他の店にはないオリジナルメニューがあること
何と言っても、店舗の場所は重要です。立地の良い場所にバルをオープンしましょう。立地が良いとは言っても、人通りが多いだけではなく、人の動きがあるところを選びましょう。
また、たくさんあるお店から選んでもらうためには、サービス、つまり奉仕精神を持った接客が重要になります。お客さんは、心地よいと思うサービスを受けることができるお店に出向いてお金を払います。常に「お客さんが何を求めているか」を感じ取る感性を磨きましょう。
また「他の店にはない」というオリジナリティも重要です。ここでしか飲めないワインがある、ここでしか食べることができないメニューがあるなど、何かオリジナリティを出していきましょう。
他の店と差別化できる魅力が多ければ多いほど、バルの経営は成功するでしょう。
7. バルを開業するために必要な資格や許可
バル開業にあたって必要な資格
・食品衛生責任者(飲食店営業許可申請時に必要です)
・防火責任者(収容人数30人以上の店舗を経営する場合に必要)
収容人数が30人以上の場合は防火管理者を選任しなければなりません。
バル開業にあたっての届出事項
バルなどの飲食店は、食品衛生法や風営法の規制を受けることになるため、様々な許可や届け出、資格が必要になります。
特に飲食店営業許可申請、届出には申請書、届出書のほかお店の設備配置図や周辺地図、登記事項証明書なども提出します。無許可営業をした場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となります。
8. まとめ
バル開業にあたって、開業資金がどれくらい必要なのかということをご紹介しました。たくさんのお客さんに来てもらうためには、まず他店との差別化を図り、魅力的なメニューが提供出来るように日々アンテナを張っておきましょう。