新鮮な魚介類を販売する魚屋の開業資金と内訳をまとめました。物件取得費に加えて冷蔵庫や冷凍庫の設備も必要な魚屋を開くためには2,000万円の資金が必要です。
新鮮な魚介類を販売する魚屋を開業する場合には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
魚屋の開業資金とその内訳について紹介します。さらに、魚屋に最適な物件を選ぶための方法や、黒字経営をするためのコツもまとめています。
もくじ
1. 魚屋の開業資金
魚屋の開業資金には、開業前の必要な初期費用と開業後に必要なランニングコストがあります。
1-2. 初期費用と内訳
開業する地域や店舗の規模によっても異なりますが、魚屋の初期費用は1,200万円です。おもな初期費用として以下のものがあげられます。
・物件取得費
魚屋を開業するためには店舗が必要ですが、借りる際には、前家賃、保証金、礼金、仲介手数料を支払います。賃貸契約を交わす不動産会社によっても異なりますが、一般的に保証金は家賃の6〜12カ月分、礼金は家賃の0〜2カ月分、仲介手数料は家賃の1カ月分を支払います。物件の家賃が10万円の場合は、物件取得費として80〜160万円を支払います。
・内装工事費
魚屋を開業するには、借りた物件の内装工事を行わなければなりません。特にコンクリート打ちっぱなしのスケルトン物件を借りる場合は、内装だけでなく、水道の配管工事や電気の配線工事も行います。物件によっても費用は異なりますが、最低でも100万円はかかるでしょう。
・店舗設備費
魚屋に必要な設備として、冷蔵庫、冷凍庫、調理器具、事務用品、電子はかりなどがあります。魚屋で使用する業務用の冷蔵庫や冷凍庫の中には、200万円以上するものもあります。予算が限られている場合は、中古の冷蔵庫や冷蔵庫を購入して費用を抑えましょう。
魚屋では購入した魚介類を運搬しなければならないため、車両の購入も必要です。新品の軽トラックなら60〜130万円で購入できますし、中古ならさらに安い価格で購入できます。予算に合わせて選びましょう。
店舗設備費は、開業する店舗の規模によっても異なりますが、1,000万円は見積もっておきましょう。
1-3. ランニングコスト
ランニングコストは開業する店舗の規模によっても異なりますが、毎月50万円の利益を目指すなら最低でも120万円は必要です。魚屋で必要なランニングコストには以下のものがあげられます。
・家賃や水道光熱費
家賃や水道光熱費は店舗によって異なります。水道代については、魚をさばく時に血などの汚れを落とすために水を大量に使用しますので多めに見積もっておきましょう。
・仕入れ資金
魚屋を開業するためには定期的に魚介類を購入しなければなりません。店舗にもよりますが、一般的に30〜50%の利益を見込んで販売します。例えば、100円で魚を仕入れた場合は、140〜200円で販売します。毎月50万円の利益を出したい場合は、最低でも100万円分の魚介類を仕入れなければなりません。
・人件費
大きな店舗を開業する場合には、人件費がかかります。地域によっても費用は異なりますが、アルバイトを雇う場合には1人につき10〜15万円が、社員を雇う場合には1人につき15〜25万円がかかります。
2. 魚屋に必要な開業資金の調達方法
魚屋を開業するには2,000万円近くの費用が必要です。開業資金を自己資金のみで調達できれば、リスクが少ない状態で開業できますが、難しい場合は借り入れや融資で資金調達をします。
一般的な資金調達の方法として、金融機関からの融資があげられます。特に銀行による融資は、クレジットローンなどよりも低い金利で融資が受けられるためおすすめです。融資を申請する際には、詳細な事業計画と無理のない返済プランを立てる必要があります。
3. 魚屋に最適な物件の選び方
魚屋のビジネスを成功させるには、物件選びが重要です。魚屋に最適な物件を選ぶ方法には以下の3つがあります。
3-1. 物件選びの3つのポイント
・売上目標を設定する
魚屋で売り上げを伸ばすためには集客が重要です。そのため、物件を選ぶ際には、まず毎月の売上目標を設定しましょう。その上で希望する地域の「時間ごとの人の流れ」、「近隣の競合店」、「客層」などをチェックして売上目標が達成できそうかを検討しましょう。
・具体的な希望条件を決める
候補となる物件を探す時には、ある程度の希望条件を決めましょう。「最寄りの駅から何分ほどの場所にするのか」「家賃は売上の何%までにするか」「物件は何坪までならOKか」といった具体的な希望を出します。そうすれば、たくさんの候補から自分の理想に合った最適な物件を選びやすくなります。
・複数の不動産会社に相談する
不動産会社に相談する際には、1社だけではなく複数の会社をあたってより多くの物件情報を入手しておくとよいでしょう。また相談する際には、なるべく具体的な要望を提示すると、希望に沿った物件を紹介してもらえます。
3-2. 契約時の注意点
魚屋に最適な物件が見つかったら賃貸契約を結びます。その際には契約書による確認が行われますが、契約書は必ず全ての項目を確認しましょう。契約書には金銭取引に関する内容だけではなく、契約の更新や解除に関する手続きの流れ、賃料や水道光熱費の支払期日なども記載されています。契約後のトラブルを防ぐためにも、契約書は時間をかけてチェックしましょう。
4. 魚屋で黒字経営するコツ
魚屋で黒字経営するためのコツは鮮度です。仕入れた魚はその日のうちにさばき、なるべく次の日に持ち越さないようにします。売り場では新鮮な魚をきれいに並べて、一目見ただけで鮮度が分かるように配慮します。
また、鮮度が落ちた魚は、刺身や寿司に加工することで鮮度を保たせるようにします。魚屋は生ものを中心に販売するため、鮮度管理を徹底することで売り上げを伸ばすことができます。
5. 魚屋の開業に成功した事例と年収
魚屋の経営者の中には、年収が1,000万円を達成した人もいます。ある経営者は、新鮮な魚を安く販売するだけでなく、大衆魚から高級魚までさまざま魚を販売しました。ノドグロや天然のクエなど、スーパーの鮮魚コーナーでは手に入らないものを販売したり、サケを使ったフレークや北海道産のイカを使ったいかめしなどの水産加工品も扱ったりしました。そうすることで集客がアップし、売り上げを伸ばすことに成功しています。
6. 魚屋の開業に必要な資格・許可
魚屋を開業するためには開業届はもちろんのこと、「魚介類の販売許可」と「食品衛生責任者」の資格や許可が必要です。
魚介類の販売許可は、店舗を設けて魚介類を販売するためには絶対に必要です。申請は地域の保健所で行いますが、その際には設備の確認と水質検査が行われます。
食品衛生責任者は、水産加工品を販売するために必要な資格です。栄養士や調理師の資格があれば申請のみで資格を取得できますが、資格がない場合は食品衛生協会による講習に出席しなければなりません。そのため、開業前に資格を取得するための時間を取り分けておきましょう。
7. まとめ
魚屋の開業資金は、地域や店舗によっても異なりますが、2,000万円はかかります。さらに、開業直後は多くの集客は難しいため、最初の数カ月は赤字になることも考えられます。そのため、開業前になるべく多くの資金を調達するようにしましょう。
魚屋を黒字経営するためには、鮮度の管理を徹底することです。仕入れた魚はなるべく早いうちにさばくようにして、鮮度を保つようにしましょう。またスーパーでは手に入らないような珍しい魚もそろえておけば、多くのお客さんを集めることができるでしょう。