近年流行しているダーツバー。
開業するにはまず何から始めれば
いいのでしょうか?
また、ダーツバー開業に必要な資格や許可には
どのようなものがあるのでしょうか?
ダーツバー開業までのプロセスと、
安定経営を行うために重要なポイントを
解説しています。
ダーツは昔からあるゲームですが、
近年ではデジタルダーツ機を設置したバーが
増えてきており、「ダーツバー」と
呼ばれています。
このダーツバーを開業するためには、
何から始めればよいのでしょうか?
ここではダーツバーを開業する方法と、
経営を成功させるうえで注意すべき点に
ついて解説していきます。
もくじ
1. ダーツバーに必要な
開業資金はいくら?
その内訳は?
まず、ダーツバーを開業するために必要となる
資金について解説します。
ここで解説するバーとは、
いわゆるマスターが一人でやっているような
個人店レベルのダーツバーを指しています。
小さく初めてだんだん大きくすることが
ダーツバー経営のコツです!
1-1. ダーツバーの開業資金
ダーツバーを開業するためには、
まず物件を探すところから始めなければ
なりません。
この物件の家賃のほかにもさまざまな費用が
必要となるため、バーの開業資金は平均して
600万円程度が必要となります。
これはあくまで平均の金額なので、
物件の立地や広さによって大きく変動します。
一般的には、ダーツバーを開業するためには
500万円から1,000万円程度が必要となるでしょう。
家賃も契約時に敷金・礼金がかかり
通常の家を借りる時とは違い、
半年から10ヶ月分の家賃を払う必要があるので、
場所は狭くても立地によって資金は膨らみます。
1-2. 初期費用の内訳
ダーツバーを開業する場合に必要な
初期費用の内訳は、
店舗とする物件の取得費用、
内装費用、グラスや皿などの購入費用、
お酒や飲み物などの仕入れ代金、
消耗品の購入費用、
そしてダーツ機の導入費用となります。
この中で、ダーツ機はほとんどの場合、
リースで済ませることが多いため、
そのような場合はランニングコストとして
計上したほうが良いでしょう。
この内訳の中で最も大きなウエイトを
占めるのが、物件の取得費用です。
ダーツバーを開業する場合には、
カウンターだけのバーを開業する場合よりも
広い物件が必要となるため、
物件の取得費用も高額になります。
この物件の取得費用は家賃のほかに
敷金、礼金などが必要となり、
店舗用物件の場合、最低でも家賃の
6か月分以上が必要となります。
また、物件の取得費用と同等の
出費となるものに、
物件の改装費用があります。
この改装費用は開店するバーのコンセプトや
規模にもよりますが、数百万円は
必要になると考えておきましょう。
このような開店資金を合計すると、
必要となる資金は平均で600万円程度となります。
また、プールしておくべき資金の中に、
店舗の運転資金があります。
開業後、来店客数が安定するまでの数か月間は、
どのような店でもほぼ例外なく経営が不安定に
なるため、
ある程度赤字が続いたとしても経営が
続けられるように備えておきましょう。
この費用は目安として200〜400万円程度と
言われています。
1-3. ランニングコストの内訳
ダーツバーの経営を続けていくうえで、
当然ランニングコストが必要となります。
この内訳は家賃、水道光熱費、消耗品費、
製氷機や冷蔵庫のリース費、宣伝広告料などで、
合計で平均50万円となります。
しかし、この中に人件費は入っていません。
自分ひとりで営業するダーツバーの場合は
自分の給料分だけ利益を上げることが
できればいいのですが、
人を雇うとなると、人件費が必要となります。
この人件費は一人当たり、
およそ20万円と計算しておきましょう。
2. ダーツバーの開業資金を調達する方法
ダーツバーを開業するためには、
開業するための初期費用と、
当座の運転資金としてまとまった金額が
必要になることは前述しました。
では、その費用はどのように捻出すれば
よいのでしょうか?
自分の預貯金などで捻出できれば
一番良いのですが、このようなケースはまれで、
ほとんどの場合は金融機関から
融資を受けることになります。
融資を受けるための金融機関として
一番に頭に浮かぶのは、銀行でしょう。
銀行から融資を受ける場合、
保証人を立てることを求められるケースが
あります。
しかし、借金の保証人となると、
確保することが困難な場合があります。
そこで、銀行から融資を受ける場合に
保証をしてくれる公的な機関があります。
それは都道府県ごとにある信用保証協会です。
この信用保証協会は、
銀行などから開業資金や運転資金の
融資を受ける際に、
保証人の代わりをしてくれる機関です。
しかし、この信用保証協会は誰が
融資を受ける際にも保証をしてくれる
というものではありません。
信用保証協会を利用して金融機関から
融資を受ける場合には、
事業計画書などを提出して
審査を受ける必要があります。
この審査を通過して初めて信用保証協会に
保証してもらうことができるのです。
信用保証協会の保証を受けて
金融機関から融資を受ける以外にも、
資金を調達する方法があります。
それは日本政策金融公庫(旧こっきん)から
融資を受ける方法です。
この日本政策金融公庫はいわゆる
政府系金融機関で、民間の金融機関より審査が
甘く、
事業資金の融資を受けやすいことが
特徴の一つです。
この日本政策金融公庫では、
融資を受けるだけではなく、
事業計画の相談などもしやすいことから、
ダーツバーの新規開業の強い味方と
なってくれるでしょう。
しかし、日本政策金融公庫から融資を
受ける場合にも審査があります。
いくら審査が甘いといっても、
誰にでも融資をしてくれるわけではありません。
きちんと事業計画を練ってから
融資を申し込みましょう。
また、日本政策金融公庫の審査には
一か月近く時間がかかることもあるので、
早めに融資の申し込みを行う必要があります。
残念なことに、この審査に落ちてしまい
融資を受けられなかった場合でも、
事業計画を練り直して半年以上経った後に
再審査を受けることも可能です。
3. ダーツバーの物件選びのポイントと契約時の注意点
ダーツバーとして開業する物件を選ぶ際には、
その広さに注意が必要です。
デジタルダーツ機を設置する面積と物件の
面積の比率により、ダーツバーがゲームセンターと
同様に風営法第2条第1項第5号による規制を
受ける可能性があるからです。
ダーツ機本体が占める面積と、
プレイヤーが立つスローラインが占める面積の
合計が、
お客様が使用するフロアの面積の10%以上を
占めると、バーではなくゲームセンターと
みなされる場合があります。
この場合、風営法により開業できる場所が
制限されてしまう恐れがあります。
また、ゲームセンターとみなされてしまうと、
午前0時以降の営業ができないといった
開業場所以外の規制も受けてしまいます。
午前0時で閉店してしまうバーというのは
なかなかないので、バーとしての経営に
支障をきたしてしまいます。
さらに、学校や児童養護施設などから
規定の距離がある物件を選ぶ必要があります。
物件の契約を結ぶ前に、
物件の広さと設置したいデジタルダーツ機の
占める面積を計算し、
デジタルダーツ機とスローラインの面積により
ゲームセンターとして規制されることがないか
よく確認しておきましょう。
4. ダーツバーのような店舗ビジネスの問題点と成功のコツ
4-1. バーは従業員に顧客がつく場合が多い
店舗型ビジネスの中でも、
スナックやクラブなどお酒と会話を楽しむものは、
お店ではなく従業員がお客様を握っている
ケースが多々あります。
これはバーにも言えることで、
お客様を多く持っているバーテンダーを
従業員として雇うことで、
売り上げを上げることが可能です。
もちろんおいしいお酒を揃えたり、
バーテンダーとして高い技術を持っていたり
することも重要ですが、
どの程度お客様を呼べるバーテンダーが
いるかということも、
ダーツバーを繁盛させるための
重要なファクターとなります。
経営を軌道に乗せるうえで重要な
要素となるので、
お客様を呼べるバーテンダーを
他のバーから引き抜くということも
選択肢の一つとして考えておきましょう。
4-2. インターネットを上手に利用する
ダーツバーは主に、
居酒屋などで飲食をした後の二次会以降に
来店する可能性が高い場所です。
お客様がダーツバーに行こう! と思ったとき、
スマートフォンでダーツバーを検索し、
来店されることも考えられます。
そのような場合に検索上位に表示されるよう、
ダーツバーの名称を工夫しておくことを
お勧めします。
googleで「ダーツバー ○○(地域)」で検索すると
googleにダーツバーの一覧が表示されます。
表示されたサイトのなかには、
オーナーのみが営業時間や料金の平均などの
ダーツバーの情報を書き込むことができる
サイトもあるので、
そこに詳しい情報を書き込んでおくことで、
来客人数を増やすことができる可能性もあります。
4-3. 内装に十分に予算を割く
近年では、お酒を飲みながらダーツを
楽しむことができる飲食店に「スポーツバー」
という形態があります。
このスポーツバーはお酒よりも、
ダーツやビリヤードをメインに楽しむ
お客様が多いことが特徴です。
カジュアルな雰囲気のお店が多く、
内装にお金をかけていない場合もあります。
そのようなカジュアルなスポーツバーに比べて、
ダーツバーはお酒を楽しみながらダーツもできる、
お酒がメインの業種になります。
スポーツバーのカジュアルな雰囲気と
差別化を図るためにも、
内装にかける予算はケチらずに、
シックな雰囲気のお店作りを行うことを
お勧めします。
5. ダーツバー経営の成功事例と年収
ここでダーツバーを経営し成功した事例を
紹介します。
ダーツバーは数多く存在しますが、
収益を上げ生き残るためには、
その数あるダーツバーとの差別化をはかることを
考えなくてはいけません。
成功したあるダーツバーは
「食事もできるダーツバー」というコンセプトで
店舗を開店しました。
もちろんカクテルなどのレシピも
きちんと研究したうえで、
本格的にお酒を楽しむことも可能な
ダーツバーづくりを目指したのです。
食事もその時々でトレンドとなる食材を
使用したものを用意し、
メニューがマンネリ化しないよう気を配りました。
カクテルにも料理にも流行があり、
カクテルではモヒートが、
料理では国産チーズを用いたものが最近の
流行となっているため、
そのようなメニュー開発に力を入れることで、
一般的なダーツバー以上の集客に成功したのです。
もちろんお客様の飲食からの売り上げ以外に、
ダーツ機からの収入もあるため、
安定した収益を挙げることができるように
なりました。
一般的なダーツバーのオーナーの年収は
350万円程度ですが、
店舗経営の工夫次第ではさらに高収入を
得ることが可能で、二店舗、三店舗と
複数の店舗のオーナーとなることも
夢ではありません。
6. 失敗しないダーツバーの開業・経営方法
ダーツバーの経営を行うにあたって、
失敗しないための重要なポイントがあります。
その重要なポイントとは、
「内輪感の強いバーにしない」ということです。
友人・知人のみがたむろするバーに
してしまうことで内輪感の強さが出てしまい、
新規のお客様が入りづらい店になって
しまいます。
また、ツケ払いがまかり通るお店に
なってしまうという悪影響もあります。
そして、学生アルバイトを極力採用しない
ということも大切です。
学生アルバイトは友人などを
お店に呼んでくれるといったメリットも
ありますが、
その友人たちのたまり場になってしまうと、
やはり内輪感の強いお店になってしまいます。
さらに、学生アルバイトの友人の中には
未成年者がいる可能性があり、
オーナーが知らない間に酒類を提供して
しまうことも考えられます。
そのことが発覚してしまうと
営業停止処分を受けるので、注意が必要です。
7. ダーツバーを開業するために必要な資格や許可
ダーツバーは飲食とともにダーツを
楽しめるバーなので、
一般的なバーを開業する際に必要な資格や許可
以外に、設置するデジタルダーツ機の台数に
よっては、ゲームセンターと同様の届出が
必要になります。
ここではダーツバーを開業するにあたって
必要な資格や許可、届出について解説していきます。
・食品衛生責任者の資格
食品衛生協会の口座を受講して
資格を取得し、営業開始日までに保健所に届ける
・食品営業許可申請
店舗の内装などが全て完成する
10から14日前に保健所へ届出を行う
・防火管理責任者
店舗又は建物全体の収容人員が30名以上の場合、
営業開始日までに消防署へ届出を行う
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
午前0時以降も営業を行い酒類を提供する場合には、
営業開始の10日前までに警察署へ届出を行う
・風俗営業許可
デジタルダーツ機とスローラインが、
お客様の利用するフロアの面積の比率の
10%を超える場合や、設置する場所によっては
警察署へ申請を行う
8. まとめ
ここまで、ダーツバーを開業する場合に
知っておくべきさまざまな内容を解説して
きました。
ダーツバーを開業するためには、
一般的なバーとは異なる手続きなどが
必要であることがお判りいただけたと思います。
ここで解説した情報をもとにして、
ダーツバーの開業・経営を成功させましょう。