バッティングセンターは数がかなり減ってしまったものの、まだまだ利用する人が多く、密かに人気を維持しています。ある程度の稼働率があれば収益を得やすいので、土地がある場合は開業を検討するのに非常に条件の良いサービスです。そんなバッティングセンターの開業にはどれくらいの資金が必要で、経営のコツはどこにあるのでしょうか?
バッティングセンターを開業する場合に必要な初期費用はどれくらいになるのでしょうか?また、経営を続けていく上でどうすれば収益を得やすいのか、安定した経営に繋がる物件はどういったものなのでしょうか?
ここではバッティングセンターの開業を考えている人に向けて、開業資金と黒字経営に繋げるためのコツを解説していきます。
もくじ
1. バッティングセンターに必要な開業資金
バッティングセンターの開業に必要な資金は、自己保有の土地に開業するとしても6,000万円~6,500万円くらいになります。大規模な工事やバッティングマシーンの準備が必要であるため、開業資金は高額になります。
他にも細かく費用がかかってきますので、まずは初期費用の内訳をみていきましょう。
1-1. 初期費用と内訳
自己保有の土地に10打席ほどの規模のバッティングセンターを開業すると仮定します。必要な初期費用は以下の通りとなります。
マシン関連費用
バッティングマシーン:950万円
ボール送球機 :300万円
制御装置 :150万円
工事費用
土木工事 :1,600万円
ネット設営 :500万円
打席準備費 :1,200万円
電気工事 :650万円
空調工事 :400万円
備品準備費 :260万円
市場調査費 :300万円
合 計 :6,310万円
おおよそ6,300万円の費用が必要になります。規模や備品の充実さによって変化しますが、最低でも6,000万円ほどの初期費用が掛かると考えておきましょう。
1-2. ランニングコスト
無事にバッティングセンターを開業出来ても、その後も様々なランニングコストがかかります。施設を安全かつ快適に利用してもらう為に、最低でも以下の費用が毎月かかります。
・人件費
・水道光熱費
・通信費
・消耗品費
・修繕費
・販売促進費
・雑費
バッティングセンターは接客がほとんど不要なので、人件費はあまりかかりません。しかし、土地が広く常に電気を使っている状態であるため、電気代が高くなりがちなのでその点に注意する必要があります。
また、マシンの定期メンテナンスや故障時の修繕費などもかかってくることに留意しましょう。
2. バッティングセンターの開業資金の調達方法
バッティングセンターを開業するには6,000万円以上のまとまった資金が必要になります。この資金を調達するにはどのような方法があるのかを解説します。
・銀行や信用金庫
融資可能額:50万円~5,000万円
振込にかかる期間:1ヶ月ほど
・日本政策金融公庫
融資可能額:100万円~3,000万円
振込にかかる期間:1ヶ月~2ヶ月
・信用保証協会融資(制度融資)
融資可能額:100万円~1,000万円
振込にかかる期間:1ヶ月ほど
・ベンチャーキャピタル
融資可能額:500万円~
振込にかかる期間:2ヶ月ほど
自己保有の土地でバッティングセンターを開業する場合は、土地を担保にして資金調達をすることが可能です。担保があると銀行や信用金庫などの民間の金融機関の審査に有利なので、金利を考慮して選ぶようにしてください。
3. バッティングセンターに最適な物件の選び方
バッティングセンターの開業を検討する人の多くは、自己保有の土地や建物を遊ばせないことが目的です。しかし、どんな物件や土地でもバッティングセンターにすればよいというわけではありません。
収益につながりやすい、バッティングセンターに適した物件や周辺環境はどのようなものなのでしょうか?
3-1. 3つのポイント
バッティングセンターは小型の市街地タイプと大型の郊外タイプがあります。それぞれに合った物件の選び方と、共通して気を付けたいポイントを3つ解説します・
・市街地のバッティングセンターの場合
市街地の場合は学校帰りや休日の近場の遊びとして利用されることが目的なので、ビルの中や駅の近くにある物件がオススメです。完全屋内の3打席ほどの小さなバッティングセンターも思わぬ人気になります。
・郊外のバッティングセンターの場合
郊外型は車利用が多いことを考えて、広い道路が近くにあることや、ゲームセンター・ボーリング場などほかの娯楽施設が併設されているような物件が良いでしょう。
また、駐車場が十分に確保できる広さも重要になります。
・騒音が出ても問題になりにくい立地が重要
バッティングセンターは若者が集まることが多く、ほかの娯楽施設も併設する場合は更に賑やかになります。近くに住居や学校、病院などがあると騒音によるトラブルが発生しやすいので、物件選びの際には周辺の建物を確認しましょう。
郊外の場合はあまり問題になりませんが、市街地にバッティングセンターを開業する場合は特に注意です。
3-2. 契約時の注意点
バッティングセンターを開業する際に、土地を借りる場合は契約時に注意する点がいくつかあります。特に意識して確認したいポイントを3つにまとめました。
・トラブル発生時の対処について
・解約や更新時の条件など
・契約期間
特にトラブル発生時の対処は騒音や若者による騒ぎが起きやすいバッティングセンターでは重要です。建物を壊した場合や汚した場合の修繕費についてや、解約時の条件などを入念に確認してください。
4. バッティングセンターで黒字経営するコツ
バッティングセンターは利用者さえいれば自動的に利益を得られるという大きな利点があります。しかし、利用者がいなければランニングコストばかりがかかってあっという間に経営難に繋がります。
バッティングセンターで黒字経営をするには、何よりも利用者を獲得することが重要というわけですね。その為にはバッティングという単純な遊びをいかに飽きさせずに「また利用したい」と思ってもらえるかが重要です。
ホームラン賞やポイント制度を設けたり、年間ランキングで上位者には賞品を出すという工夫をしてみてください。
また、野球選手を呼んでのサイン会や子供向けのバッティング練習会などのイベントを開催して宣伝し、新しい利用者を確保し続けることも黒字経営には欠かせません。
5. バッティングセンターの開業に成功した事例と年収
打席数10席ほどの一般的なバッティングセンターを経営した際の成功事例をご紹介します。自己保有の郊外の土地に開業した初年度の経営状態は以下の通りでした。
1回のゲーム料金:300円(4分)
日商:15万円
売上高:4,800万円
営業利益:980万円
バッティングセンターが出来たということが広まるまでは利用者が少なめでしたが、知られるとともに徐々に増えていきました。営業日は月に30日前後で1日のゲーム数は約430回で安定するようになり、野球のシーズンは人気が高まります。
一度利用者が付くと安定することもあり、3年目以降は利益の上昇はありませんでしたが、一定の売り上げを保ち続けることが出来ています。
6. 失敗しないバッティングセンターの開業・経営方法の種類
バッティングセンターの経営にはフランチャイズと個人経営の2種類があります。それぞれにどのような特徴があるのか解説していきます。
6-1. フランチャイズ経営
フランチャイズは加盟することで商号・商標の許可をもらい、本部のブランド力を借りながら経営を行う方法です。
名前が知られているので利用者は安心感があり、プロモーションや集客の立案なども行ってもらえるので、知識に不安がある場合は個人経営よりも安定した収益を得やすいです。
しかし、ロイヤリティを支払う必要があるので、個人経営よりも利益が低くなるというデメリットがあります。
6-2. 個人経営
全ての準備を自分で行い、バッティングセンターの名前やデザインも好きに決めることが出来ます。収益はすべて自分のものになるという大きなメリットがありますが、後ろ盾がないので知名度を得るまでに時間がかかります。
経営や宣伝に自信があり、資金力もある場合にお勧めの経営方法です。
7. バッティングセンターの開業に必要な資格や許可
バッティングセンターの開業に特別な認可や資格は必要ありません。個人経営なら税務署に開業手続きを行うだけで開業出来ますし、法人でも必要に応じて各種保険の手続きを行うだけです。
フランチャイズの場合は各企業が求める契約などを行う必要が別途あります。
8. まとめ
バッティングセンターの開業は資金があれば比較的簡単で、特別な知識や資格は必要ありません。
また、バッティングという遊びだけでは個性が出にくいので、開業する場所が明暗を分けることが多々あります。他のバッティングセンターが近くにないことと、若者が多い土地であるかが非常に重要です。
加えて、飽きさせない為の工夫を行って継続利用を狙い、同時にイベント等で新規利用も増やしていくことがバッティングセンターの経営には欠かせません。
上手くいけば年商5,000万円以上を狙える業種なので、遊休地がある場合は検討してみてはいかがでしょうか?